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スクールエコノミストWEB【桐朋女子中学校編】

スクールエコノミストは、私立中高一貫校の【最先進教育】の紹介を目的とした「12歳の学習デザインガイド」。今回は桐朋女子中学校を紹介します。

豊かな発想力が磨かれる芸術の授業 外資系企業トップや女性機長を輩出

<3つのポイント>

① 生徒の興味に合わせ、将来の進路をじっくり考えることができる

② 多様性のあるクラス編成で、一人ひとりの才能や可能性が開花

③ 音楽系名門大学を擁する桐朋学園ならではの優れた芸術教育を展開

豊かな発想力と感性をはぐくむ多様性に満ちた校風と芸術教育

 多種多様な価値観が認知されていく現代社会を生き抜くには、豊かな「発想力」や確かな「感性」が必須である。桐朋女子では、内進生と中入生、帰国生、高入生が同じクラスに在籍し、高2になっても文理でクラス分けしない。多様性を尊重し、個性や知識が融合し合う環境で、「発想力」がはぐくまれていく。さらに音楽系名門大学を擁する桐朋学園は、歴史的に芸術への造詣が深く、生徒の「感性」をはぐくむ芸術教育にも力を入れている。中1の芸術は、音楽=週2、美術=週2、書道=週1時間の必修授業があり、それぞれ高い専門的知識を備えた教員が高度な授業を展開。中3では興味関心のある科目を主専攻として選び、副専攻として3科目を3期に分けて学ぶなど、芸術の手厚い体制が整っている。

高3美術の卒業制作「現代社会」

 「本校の強みは、入学時に芸術の道に進む明確なビジョンがなくても、普通科に在籍しながら芸術系大学への進学も視野に入れたレベルの高い授業が受けられること。美大をめざす生徒は、予備校や画塾などに頼らずとも、授業内での取り組みや教員の個別サポートだけでも進学できます」と進路指導部主任の輿水祐子教諭は胸を張る。

発想力が社会と結びつく専門的な美術教育

 創立当初から芸術教育に力を注いでいる中学の美術は、専任教員と非常勤を含む6名が授業を担当。東京藝大や武蔵野美大、多摩美大など名だたる美術系大学への進学も視野に入れた専門的な学びとなっている。

 中学では、自然をモチーフにした観葉植物の写生や野菜(ピーマン)の模刻、自分自身を見つめて内面も描く版画(ドライポイント)による自画像、環境のためのポスター、動物をモチーフにしたピクトグラム、「機械と私」をテーマにしたリトグラフなどを制作。自然→人→環境→社会と、学年を追うごとに課題となる対象物の幅が広がっていくのが特徴だ。美術を教える高田雄一郎教諭は「最初は対象物の“観察”に重きを置き、そこから徐々に自身の“発想”を加えて表現していく課題編成にしている」と話す。さらに高校では、利用する相手を想定した創作絵本やレコードジャケット、知育玩具、公共性に根ざしたデザイン制作など、課題そのものが社会性を帯びていく。力を入れているのは、作品制作の行程で目的(Why)やターゲット(Who)、ロケーション(Where)などの観点を設定しながらテーマを模索すること。生徒たちは、創作絵本に幼児が季節の事柄を学べる仕掛けを作ったり、誰もが使いやすいユニバーサルな吊り革のデザインを考えたりするといった工夫を凝らし、作品制作を通して社会に出てからも役立つスキルを身につけていく。高田教諭は、「美術の分野では、ともすれば作品に共感する人は一部でもいいといった閉鎖的思考に陥りがちな一面もある。しかし美術が向かい合う先は、社会です。生徒たちには作品を制作する過程で社会に意識を向け、自分と社会との接点を見つけてほしい」と話す。美術が社会と密接に関わっていることを感じたうえで思いを込めて作品を作り、「将来的に社会を変える、社会に貢献するという意識に発展してくれれば嬉しい」と授業の意義を語る。