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冬の味覚の王様 ズワイガニ!

ニュースがわかる2021年12月号より

 11月6日午前0時。富山県から島根県の日本海でズワイガニ漁が解禁になりました。各地の港から、このときを待ちわびた漁師たちがいっせいに船を出します。そして翌年の3月20日まで北陸と山陰の日本海側の地域では、ズワイガニにわくのです。日本人が大好きな冬の味覚の王様・ズワイガニについて、もっと知ってみませんか。

オスとメスは別居!変わるズワイガニのすみか

 深さ200~500メートル、水温5度以下の海底にすんでいるズワイガニ。日本の周辺では山口県より北の日本海、オホーツク海、茨城県より北の太平洋に生息しています。ただ、ずっと同じ場所にいるわけではないのです。

 日本海では、ズワイガニの卵からふ化したばかりのプランクトンが、エビに似た幼生になるまでの2~4カ月間は、深さ100~200メートルの海中をただよいながら、脱皮し姿を変えて大きくなります。

 そして、親と同じ姿の稚ガニになると、深さ250メートルあたりの海底で生活します。成体※となる1年前には、深さ230メートル前後の海底へ雌雄がついになって大群で移動。翌年、産卵をします。産卵後、メスはこの付近に残って、オスはさらに深い300~500メートルの海底へ移り、別々の場所にすむようになるのです。

※卵を産み、増やすことができるほど十分に発育した生物体

日本海に数多く生息する

 日本でとれるズワイガニのうち、その約7割が北陸と山陰の日本海西部で漁獲されています。特に能登半島(石川県)沖から若狭湾(福井県)、隠岐諸島(島根県)周辺の海域に数多く生息しているため、この地域では古くからズワイガニ漁が盛んです。

 その証拠となるのが、江戸時代の中ごろに諸藩が幕府に提出していた領内の産品をまとめた「産物帳」です。たとえば「越前国福井領産物」(1724年)では、とれない季節もあるとしたうえで、「ずわいかに」と記されています。

【キーワード】漁獲可能量(TAC)とは
国が魚種ごとに定めた年間で漁獲できる上限量。水産資源の適切な保存・管理を目的とする。対象魚種は、ズワイガニ、クロマグロ、サンマ、スケトウダラ、マアジ、マイワシ、マサバ・ゴマサバ、スルメイカ。TACはTotal Allowable Catchの略。

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