1966年6月に静岡県清水市(現静岡市)で一家4人を殺害したとして、強盗殺人などの罪に問われ死刑が確定した袴田巌さん(88)に対するやり直しの裁判(再審)で、静岡地方裁判所は9月26日、無罪判決を言い渡しました。(「Newsがわかる2024年12月号」より)
国井恒志裁判長は、捜査機関が三つの証拠をねつ造(でっちあげ)したとし、「袴田さんが犯人とは認められない」と述べました。死刑囚(死刑判決が確定した囚人)に対する再審無罪判決は、この袴田事件で第二次世界大戦後5例目です。静岡地方検察庁は10月8日、控訴しないと発表し無罪が確定しました。
再審は、判決の内容に疑いがある場合に開かれます。今回は袴田さんが犯行時に着ていたとされた衣類が最大の争点でした。
9月26日の判決では、袴田さんが働いていたみそ製造会社のみそタンク内から見つかったとされる衣類はねつ造されたものと判断。さらに袴田さんの実家から見つかったこの衣類と同じ生地の切れ端、袴田さんが犯行を「自白」した供述調書―の合わせて三つの証拠は、いずれもねつ造されたものと批判しました。

袴田巌さんに対する再審で無罪判決となり、笑顔を見せる姉の秀子さん(中央左)=静岡市葵区で9月26日

姉秀子さん(右)のサポートを受けながら、報告会でマイクを握る袴田巌さん=静岡市内で9月29日
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