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【ニュースがわかる2024年5月号】巻頭特集は10代のための地政学入門

気になる数字「9.0%」
価格にどう転嫁?

週刊エコノミスト編集部が執筆する毎日小学生新聞「15歳のニュース」内コラム「これって経済? 」は、経済にまつわる数字を解説します。

今回の気になる数字は「9.0%」。最近よく聞く「物価高」に関する数字を表しています。物価があがるとどのような影響があるのか、考えながらみてみましょう。

 今回の気になる数字は「9.0%」。

 これは、9月中旬に日本銀行が発表した8月の企業物価指数の対前年同月比の数字です。つまり、前の年の同じ月と比べて9.0%上昇したということだ。2022年1月から8カ月連続で9%台という高い数値となっています。

 物価指数には、消費者が購入するモノやサービスの物価の動きを示す「消費者物価指数」もありますが、企業物価指数は、企業と企業の間で取引される商品の価格を指数化した物価指数です。

 企業物価指数の高止まりの背景には、ロシアのウクライナ侵攻があります。原油はじめ資源や穀物などの原材料価格の上昇が大きい。さらに、最近の円安が輸入品価格を押し上げています。

 企業物価指数の上昇は、消費者に提供される最終商品価格に転嫁を促します。それが最近のスーパーやコンビニなどで見られる商品の値上げラッシュにつながっているのです。

 ただし、企業物価指数の9.0%に対し、消費者物価指数(総合)は3.0%(8月)の上昇と3分の1にとどまっています

 これは、企業間の物価上昇分を最終製品価格にすべて反映できていないことを示します。

 企業は、消費動向をにらみながら、かつ利益確保および従業員への還元を踏まえ、製造コストの高まりを製品価格にどう転嫁するか悩ましい局面にあります。価格転嫁が進まなければ、賃上げが難しくなり、消費増につながりません。

(「15歳のニュース」 22年10月22日掲載より)


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