週刊エコノミスト編集部が執筆する毎日小学生新聞「15歳のニュース」内コラム「これって経済? 」は、経済にまつわる数字を解説します。
今回の気になる数字は「30兆円」。「天才起業家に試練」ともありますが、とてつもない大きな数字です。何の数字を表しているのか、詳しくみてみましょう。
世界一の金持ちは誰か。
米国の経済誌などが発表しているランキングによると、2022年の1位はアメリカの電気自動車メーカー、テスラの最高経営責任者(CEO)、イーロン・マスク氏で決まり、と思われていました。
ところが、年末になって異変が起きました。マスク氏は22年春のランキングでは資産約30兆円でダントツ。しかしその後、テスラの株価が急落して、マスク氏の資産も大きく減りました。12月半ばには資産約24兆円になり、6兆円も少なくなりました。
代わりに1位になったのは、高級ブランドバッグや洋酒などを展開するモエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン(LVMH)の会長、ベルナール・アルノー氏。資産は約25兆円で、〝わずか〟に逆転しました。
テスラは電気自動車の世界トップメーカーですが、株価急落のきっかけは、マスク氏が短文投稿サイト、ツイッターを買収したことです。ツイッターはニセ情報の発信などが問題となり、規制を強めていました。さらに赤字にも陥っていました。マスク氏は立て直しを目指して10月に6兆円で買収したのです。
しかし、本当にうまくいくのか、テスラがおろそかになるのでは、などの懸念が出てテスラの株価は1年で半分にまで下がってしまいました。
テスラ以外にも、宇宙開発会社スペースXを創業し、ロケット打ち上げなどの事業を手掛けるマスク氏。天才起業家と言われるマスク氏に、試練が訪れているようです。
(「15歳のニュース」 22年12月24日掲載より)
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