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【ニュースがわかる2024年5月号】巻頭特集は10代のための地政学入門

気になる数字「3200トン」 希少性が生み出す価値

週刊エコノミスト編集部が執筆する毎日小学生新聞「15歳のニュース」内コラム「これって経済? 」は、経済にまつわる数字を解説します。

今回の気になる数字は「3200トン」。象何頭分になるのか、全く想像がつかない重さです。何の重さなのか、詳しくみてみましょう。

今回の数字は「3200㌧」。

 2020年に世界で生産された「金」の量です。北京冬季オリンピックは日本選手団が金メダル3個と健闘した。スポーツに限らず賞レースの優勝者に金が与えられるのは、産出量が少ないゆえの貴重さ、すなわち“希少性”によるものです。

 金の希少性がイメージしやすいように体積に換算して考えてみよう。
 まず、金1㌧は約52㍑になります。

 一般的な家庭の風呂は約200㍑。その4分の1程度の体積で1㌧だから非常に重い金属だと分かる。金3200㌧なら16万6400㍑になる。

 ここで小中学校のプールの水(長さ25㍍幅10㍍深さ1㍍)は25万㍑。したがって金3200㌧は「25㍍プールで約0・7杯分」になる計算です。

 さらに“これまで人類が採掘(さいくつ)した金の総量は18万㌧と言われる。オリンピックで使われる長さ50㍍の「国際基準プールで約3・8杯分」にすぎません。

 これは“1年間の「鉄」の生産量18億㌧(20年)の1万分の1であり、「銅」2000万㌧(18年)と比べても桁違いに少ないですね。

 このように希少な金は昔から貨幣に使われ、最近は投資や投機の対象として注目されています。

 通貨の価値が下落し、相対的に物の値段が上がる「インフレ」が進んでいるからです。通貨のまま持っていると損をするから、希少で価値が安定している金が買われています。実際、インフレ局面で金相場は常に上昇したことが、過去ありました。


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