北海道新幹線の新青森―新函館北斗間が開業してから3月で10周年を迎えます。札幌駅までの延伸は当初計画から遅れ、2038年度末以降となる見通しです。事業費も当初の見込みから2倍以上の3兆5000億円と膨れ上がっています。北海道新幹線は地域にどのような影響を及ぼしているのでしょうか。また、地元は札幌延伸にどのような期待を持っているのでしょうか。
北海道に新幹線が走っているの?
北海道新幹線は現在、青森市の新青森駅から北海道北斗市の新函館北斗駅まで149キロメートルの区間を走っています。新函館北斗駅から東京駅まで、最短の場合は片道4時間ほどで行くことができます。
1970年に全国新幹線鉄道整備法という法律が施行(効力をもつこと)されました。この法律に基づき、国は北海道、東北、北陸、九州(鹿児島と長崎の2ルート)の5路線を整備する計画を1973年に決めました。
北海道新幹線は、JRの前身の旧国鉄(日本国有鉄道)の経営悪化の影響を受け、計画がまとまってから30年以上経過した2005年に着工しました。そして2016年3月に、新青森―新函館北斗間が開業しました。
北海道新幹線が開業し沿線で大漁旗が振られる中、新函館北斗駅へと向かう東京発の一番列車「はやぶさ1号」=北海道木古内町で2016年3月26日
どのくらいの人が使っているの?
JR北海道によると、開業後の2016年度の利用者数は約227万人でした。1日あたりでは約6200人です。新千歳空港を代表とする空路が好調の一方で、新幹線の利用客数は年々減少し、新型コロナウイルス感染症の流行を経て、2023年度は160万人でした。
ただ、2024年度は約124億円の赤字ながらも、利用者数が増加に転じました。2025年度は10月末までに約108万人が利用しました。北海道の担当者は「東北地方との交流人口が広がった」と話しています。2016年度の北海道函館市の観光客数は約561万人に上りました。前の年度と比べると約66万人増えました。2016年度以降、函館の観光客数はコロナ禍の時期を除くと毎年500万人を上回っています。
いつ札幌までつながるの?
新函館北斗駅から札幌駅までの計212キロメートルをつなげる工事は、建設主体の鉄道建設・運輸施設整備支援機構(鉄道・運輸機構)が2012年から進めています。2015年の計画では30年度末の開業を目指していました。しかし、2025年に2038年度末まで遅れることが明らかになりました。工事の進み具合によっては、さらに遅れる可能性もあります。
札幌までの工事区間の8割はトンネルで、掘削工事などが続いています。今年1月1日時点で、掘り終わったのは全体で90%ですが、複数のトンネルで工事がうまく進んでいません。とても大きな岩の塊があったり、掘削する場所の地質が悪いことが分かったりしたため、岩の撤去や補強に時間がかかっています。
工事にはお金もかかっています。札幌への延伸計画では当初、事業費は1兆6700億円と見込んでいました。しかし工事の遅れに伴い、2022年に2兆3150億円、2025年に3兆5000億円と膨らみ続けています。材料費と人件費が増えたことに加え、消費税率が段階的に引き上げられてきたことも影響しています。
開業を待っている人もいるんだよね
札幌までの延伸で、小樽市と俱知安町、長万部町、八雲町に新駅の設置が予定されています。小樽市の担当者は「市には小樽運河や歴史的な町並みなどの観光資源がある。小樽に来る手段が増えれば、経済効果が見込める」と話しています。スキーリゾートで有名な俱知安町は観光客のアクセス向上が課題となっています。町の担当者は「アクセスが改善すれば、お客さんの負担が減る」と期待を寄せています。
住民の高齢化や人口減少に直面する長万部町の担当者は「新幹線の貨物ターミナルを誘致して雇用や産業を生みたい」と考えています。開業がさらに遅れてしまうと「恩恵を受ける町民が減ってしまう」と心配していました。
新幹線の建設には巨額のお金がかかる上、工事は遅れています。既に開業している区間も赤字が続いており、必要性を疑問視する声もありますが、開業によって地域が活気づくことを期待する声もあります。
誰がお金を払うの?
新幹線の施設は国の設備として整備され、鉄道・運輸機構が保有します。JRは使用料を支払うことが法律で定められています。事業費にはJR北海道が支払う使用料を充て、残りは国が3分の2、沿線の自治体が3分の1を負担します。事業費が増え、自治体からは負担を減らしてほしいという声が上がっています。
ただ、開業すれば経済に良い効果があるといわれています。北海道が2013年にまとめた調査では、北海道全体で年間900億円超の経済波及効果を見込んでいます。2035年に開業した場合、最初の年度で地域に964億円の波及効果を及ぼし、約6600人の働き口(仕事)を生み出せると見積もっていました。
道の担当者は「札幌は道内有数の観光地で、近年でも訪れる人が増えている。(北海道へ来る)アクセスの選択肢が増えれば経済効果が見込め、ビジネスで訪れる人も増えるだろう」と期待しています。
(2026年3月18日毎日小学生新聞より)
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北海道新幹線 開業から10年 どうなる? 札幌への延伸【ニュース知りたいんジャー】
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