2022年2月に始まったロシアによるウクライナへの侵攻から4年がたちました。この紛争をきっかけに難民への関心は高まりましたが、移民や難民に対して厳しい目を向ける人々も増えました。こうした人たちを国外へ追い出そうとする排斥運動なども、世界各地で起きています。今の状況や、移民と難民の違いを、知りたいんジャーが調べました。
難民ってどんな人?
戦争や紛争、差別や迫害(いじめ)から、自分の命を守るために、しかたなく国を出て逃げてきた人たちを「難民」と言います。国から逃げなくてはならなくなった理由は、それぞれ違います。戦争の発生や、信じている宗教の違いから、命が危なくなって自分の国にいられなくなった人もいます。また、国をもっとよくしようとして活動したことで政府から逮捕されそうになり、逃げることになった人もいます。
国際連合(国連)が定めた、難民条約という決まりがあります。そこでは、他国に逃げた人を広く「難民」とする一方、一時的に避難した人を「避難民」、国内の別の地域に逃げた人を「国内避難民」と呼んで区別します。ロシアに侵攻されたウクライナから日本へ来た人は「避難民」です。
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、2025年4月末時点で、紛争、迫害、暴力などにより故郷を追われた難民・国内避難民の数は、世界で約1億2210万人にのぼります。全世界の人口と比べると、67人に1人が国内外へ避難しなくてはならない深刻な状況が続いています。
シリアから隣のレバノンへ逃げてきた難民のキャンプで暮らす人々。レバノンで経済危機が続く中、生活は厳しいといいます=レバノン北部アッカール県で2023年2月
難民と移民の違いは?
難民が「逃げなければ命が危ない人」だとすると、移民は「より良い生活を求めて、別の国へ移ることを自分で決めた人」です。
経済協力開発機構(OECD)は統計で「国内に1年以上滞在する外国人」を移民と定めています。一方ヨーロッパ連合(EU)は「EU加盟国以外の国籍を持ち、EU諸国内に3か月以上滞在する外国人」としており、移民の定義は定まっていません。
これに対し、難民の定義は「自国で迫害の恐れがある人」「迫害の恐れは、人種、宗教、国籍、特定の社会集団に対するものであること」「自国政府の保護を受けることができないこと」などと国際法で明確に示されています。
とはいえ、難民の中には「家族とともに自立して生きていきたい」「子どもにより良い教育を受けさせたい」などの理由で、本当は困っていても難民とは言わずに、少しでも安心して暮らせそうな国を選んで、留学や仕事のビザ(入国許可)を得て住む人もいます。
逆に、自分で移動することを選んだ移民の中にも、移民先でだまされたり、ひどいあつかいを受けたりして、助けが必要な人もいます。移民と難民をはっきりと区別できないケースもたくさんあります。
難民はどのように支援されているの?
国連は、世界の人々の基本的人権を守るために、1951年に難民条約を制定しました。国連に加入している国は、難民を受け入れて保護する義務があります。現在、難民の支援はUNHCRが中心となって、世界各地でさまざまなNGO(非政府組織)やNPO(非営利組織)が活動しています。
日本で20年以上難民を支援しているNPO「難民支援協会」は、難民認定手続きから受け入れ先や仕事探しなども含め、さまざまな生活上の支援をしています。また、国の難民制度の見直しを求める活動もしています。
難民は女性や子どもが多いため、国連児童基金(ユニセフ)も、難民の子どもたちの命を守る支援から将来につながる支援までを行っています。
ユニセフの統計によると、難民や国内避難民になっている子どもは2024年末時点で推定約4880万人です。難民が多い国・地域は、スーダン、ミャンマー、パレスチナ自治区ガザ地区、コンゴ民主共和国、アフガニスタンです。ガザ地区などは難民と国内避難民が混在するケースも多いとされます。
世界の移民の数は?
国際移住機関(IOM)の2024年版「世界移住報告書」によると、世界の移民の数は、約2億8100万人(2020年)にのぼります。これは当時の世界人口の3.6%にあたります。
移民の受け入れ先国の1位はアメリカで5238万人です。2位はドイツの1675万人、3位はサウジアラビアの1368万人。ついで、イギリス、フランス、スペイン、カナダとなっています。
一方、国の全体の人口に占める移民の割合が高い国もあります。アラブ首長国連邦、クウェート、カタールなどで、そのほとんどが中東の産油国や資源国です。これらの国では、経済成長を支えるための労働を外国人に頼っているからです。
移民人口は世界的に増えています。特に移民が増えているアメリカやヨーロッパでは、移民に対する差別や排斥運動が問題になっています。
日本の受け入れ数は?
少子高齢化や人手不足が進む日本では、移民受け入れが必要とも言われますが、政府はあまり積極的ではありませんでした。2018年に外国人労働者の受け入れ方針を打ち出しましたが、「移民」という言葉は使っていません。あくまで「在留外国人」としており、近年、日本国内の在留外国人は増加傾向にあります。
国の役所・出入国在留管理庁によると、在留外国人数は約396万人(2025年6月末)、外国人労働者数は約230万人(2024年10月末)です。在留外国人数では、中国が最も多く90万人(全体の23%)、次いでベトナムが66万人(17%)、韓国が41万人(10%)で、この3か国で全体のほぼ半数です。
一方で、難民の受け入れ数はどうなっているでしょう? 難民支援協会によると、2024年に1万2373人が難民申請して、認定されたのは190人でした。国連などによると、申請した難民の認定率(2024年)はカナダ70%、アメリカ57.7%、イギリス42.4%に対し、日本は2.2%でとても少ないです。
背景について難民支援協会は、難民や移民問題に関心を寄せる人が少ないこと、受け入れへの誤解や偏見などをあげています。
(2026年3月4日毎日小学生新聞より)
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難民と移民の今 どう違うの?【ニュース知りたいんジャー】
https://www.newsgawakaru.com/news/260304