ドールハウスを知っていますか? 建物や部屋をミニチュアサイズに小さくして再現した工芸品です。みなさんの中にも人形やブロック、鉄道模型で遊ぶのが好きな人も多いと思いますが、小さな世界をつくって、わくわくするのは古くから万国共通の楽しみのようです。3月には東京でフェスタも開催されます。
ドールハウスは16世紀初めごろ、ヨーロッパで生まれました。ドイツでは教育玩具として広がりました。一方、オランダでは貴族や商人などの富裕層がコレクションした絵画や家具、食器のミニチュアを職人に作らせ、それらを飾るためにキャビネット(扉がついた箱形家具)式の小さな部屋や建物も作られるようになったそうです。ドールハウスはアメリカにも渡り人気となりました。
ドールハウスの本場となったイギリスで1924 年、国王ジョージ5世の王妃のための「メアリー王妃のドールハウス」が完成しました。建築家や職人、ワインや自動車のメーカーが本物を忠実に再現し、著名な画家や作家が直筆の小さな絵画や書籍を贈りました。5階建ての建物には電気と水道、実際に動くエレベーターも備えました。1500人以上がかかわり3年かけてつくった最高傑作とされ、現在もロンドン郊外のウィンザー城に展示されています。
日本では、女の子のおもちゃとして、ドールハウスを参考にした着せ替え人形「リカちゃん」(1967年)や、森に暮らす動物シリーズ「シルバニアファミリー」(1985年)が発売され、1980年代にドールハウスのブームが訪れました。ただ、小さく作った調度品や飾られるひな人形、精巧に作られた明治・大正時代のままごと道具など、古くから日本独自のドールハウス文化があったと言えます。
ドールハウスには人形が必ずしも必要なわけではありません。日本では人形を置いたドールハウスは、あまり好まれないそうです。
どれぐらい小さいの?
ドールハウスの縮尺は「メアリー王妃のドールハウス」が制作された際、12分の1サイズに統一されました。これはヨーロッパやアメリカで使われる長さの単位である1フィート(30.48センチメートル)を1インチ(2.54センチメートル)に変えるだけで簡単だからです。この縮尺に厳しいコレクター(収集家)たちは、正しくないものをトイ(おもちゃ)やジャンク(がらくた)と呼んで、ドールハウスと区別するそうです。
しかし日本の住宅に置くには、12分の1サイズのドールハウスはやや大き過ぎます。日本では18分の1サイズが採用されることもあるそうです。ほかに24分の1や48分の1のものもあります。
木材や金属、布、ガラス、陶器など、ドールハウスやミニチュアの作家は本物の素材にこだわって制作しています。また食べ物や植物などを作る時は樹脂粘土を使います。レンガや畳などは別の素材を代わりに使って表現するなど、さまざまな工夫をしています。
日本ドールハウス協会では技術認定試験を実施し、作家や講師を育てています。木材で窓枠や家具、樹脂粘土でサンドイッチや和食の朝食を制作する課題などが出題されます。また、ダイニングセットを作る木材や設計図などの初心者向けキットも用意し、教室などでドールハウス作りのきっかけを提供しています。

初心者向けキットを使った12分の1サイズのダイニングセット
日本ドールハウス協会主催の「ドールハウスフェスタ」が3月15日、東京都立産業貿易センター浜松町館(港区)であり、ドールハウスやミニチュアの作家や店舗、会社が約100ブースを出展します。ドールハウスにくわえて、料理や植物、食器、商品パッケージ、アクセサリーなどのジャンルや素材に特化した作家の作品も展示販売されます。詳細は公式サイト(https://festa.dollshouse-association.jp/)で。
(2026年2月25日毎日小学生新聞より)
<取材協力>日本ドールハウス協会
<参考文献>ドールズハウス ミニチュア世界の扉を開く(新美康明、新樹社)
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