爽やかな香りに、酸っぱさが特徴のレモン。搾って飲み物に入れたり、皮を削って果汁と砂糖で煮込んだりと、いろいろな方法で楽しめる食材です。一年中、手に入れることができますが、日本国内で栽培されるレモンは、寒い冬の今が旬(おいしい時期)です。国産レモンについて、知りたいんジャーと調べてみました。
みなさんの家では、どんなふうにレモンを使いますか? ミカンのように果実をそのまま食べることもあれば、実を搾ってドレッシングに入れたり、焼いた肉にかけたりと、使い方はいろいろです。
ところでレモンは野菜でしょうか? 果物でしょうか? レモンは店でどこに陳列されているのかを確認しようと、十数軒、スーパーや八百屋を見て周りました。ミカンなどと一緒に果物のコーナーに並んでいたり、トマトなどの野菜のコーナーにあったりと、半々でした。
農林水産省は生産量などの統計を取るために、野菜と果物(果樹)を分けています。育つ場所と育つ期間で分けていて、だいたい2年以上育つ草や木の植物で、毎年のように実が取れて食べられるものを「果樹」と分類します。一方、野菜は畑などで1年以内に育ち、短い期間で収穫できる植物が多いです。生産状況などをまとめる統計では、レモンは「果物」に分類されています。

黄色がみずみずしい熟したレモン
「NHK 趣味の園芸 12か月栽培ナビ レモン」を執筆した千葉大学の三輪正幸助教(果樹園芸学)に聞きました。レモンの原産地はインドのヒマラヤ山脈のふもとといわれています。三輪さんは「いろいろな説がありますが、10世紀ごろには東は中国、西は中東諸国に伝わり、12世紀ごろには地中海などで栽培されたようです」と説明します。国内では、明治時代には広島県などで、苗木を導入するなど本格的な栽培が始まりました。
その後、レモンは1964年に輸入が自由化され、日本の農家は打撃を受けました。ただ、時間をかけて運ばれる輸入レモンは、かびが生えないよう、防かび剤を使って品質を維持している場合が多いです。
レモンには、免疫を強める働きなどがあるビタミンCや、疲労回復などに役立つクエン酸が多く含まれます。健康志向の高まりや、地域で育てられたものを使う「地産地消」などから、国産レモンが見直されています。
三輪さんは、国内でのレモン消費については、「二つのブームがある」といいます。最初は、1980年代から2000年ぐらいまでにかけてです。唐揚げにレモンを添えたり、メーカーがレモン味のアルコール飲料に力を入れたりしました。
さらに2000年代後半以降の第2次ブームは、調味料や菓子、清涼飲料など、いろいろな企業が「レモン味」を手がけて、多様化していきます。お菓子一つとっても、ケーキやグミ、チョコレートなどといろいろです。レモンだけのレシピ本も複数出版され、三輪さんは「主役を張れる食材として定着して、市民権を得たようです」といいます。
「レモンは実は、鉢植えでも育てられます」とも教えてくれました。寒さに弱いので、霜が降りそうな時や気温が0度を下回りそうな時には、部屋に取り込む必要があるそうです。「色が変わっていく様子なども、ぜひ観察してみてください」と話しました。
静岡県伊東市の三枝和義さん(60)は、2代目のレモン農家です。40年以上前から、ミカンを栽培していた山の斜面などを使って、枝のとげが少なめの「ユーレカ」という品種などを育て、毎年収穫して、地元のレストランなどに卸しています。土作りを大切にし、年に5回、機械で草を刈り取っています。
5月の連休明けごろに白い花が咲き、しばらくすると小さな実が付きます。大きくなった秋の緑色の実は「グリーンレモン」として出荷します。12月を過ぎると、熟したレモンを収穫します。手のひらで包めるくらいの大きさのものを、ハサミで一つ一つ切り取ります。「大きな実や、皮肌がきれいな実ができるとうれしい」と話します。
息子の巧さん(29)は4年ほど前から、収穫したレモンでレモネードを作り、週末などに県内のイベントで販売しています。「伊東や(となりの)熱海のレモンはまだまだ知られていません。活用方法を考えていきたい」と意気込んでいました。

手のひらで包めるくらいの大きさになると収穫します=静岡県伊東市で2025年12月23日
レモンは寒さに弱い上、強い風が吹くと果実が傷つきやすく、病気になりやすい特徴があります。栽培できる主な産地は「シトラスベルト」とも呼ばれ、世界で見ると北緯35度から南緯35度の範囲を中心にあり、暖かい地域で栽培されています。2022年の生産量(ライムを含む)は2152万トンでした。トップはインドで18%、2位はメキシコで14%、3位は中国の12%と続きました。
日本でみると、2022年に輸入されたレモンは4万3800トンで、アメリカ産やチリ産が多く占めました。一方の国産レモンは、1万500トン収穫されました。都道府県別では、①広島県5800トン(全体の55%)②愛媛県2000トン(19%)③和歌山県900トン(9%)④宮崎県390トン(4%)⑤熊本県270トン(3%)――となっています。2000年以降に生産量が拡大しており、20年前と比較しても、栽培面積は2.7倍、収穫量も2.6倍と増えています。
(2026年1月21日毎日小学生新聞より)
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