Q なぜウソをつく人がいるのですか。なぜウソをつけるのですか。
他人を傷つけるウソはだめ ウソをつく理由を考えることも大切
A 回答を考えるために、本屋や図書館で、背表紙をながめることから始めました。ウソやだましをタイトル(題名)やテーマ(主題)にした本は、実に古今東西たくさんあります。他人にだまされないようにする方法や情報を書いた実用的な本も少なくありません。
喜怒哀楽の感情を呼び起こす小説や物語には、想像だけで書かれた作品があります。ウソ自慢を競う「ほら話」と同じように、作りごとです。目の錯覚を利用したトリックアートだってウソといえます。私たちはたくさんのウソを、ウソと分かっていながら受け入れて生活しています。
評論家の赤塚行雄さんが書いた子ども向けの「人はなぜウソをつくのか」(ポプラ社)には、次のように理由がまとめてありました。
<人間だけが言葉をもち、その言葉によって、自分が直面している現実と、自分との間をうまく調節ようとするからである>
読み返しても、難しいですね。
試しにウソのない世の中を想像してみましょう。仮に人が発する言葉は、すべて本当のことだとします。友達が気にしていることをそのまま指摘したばっかりに仲が悪くなり、自分自身も未来の夢や希望の話をできずに物事をうまく進められません。良好な人間関係を守るためには沈黙しかありません。
ことわざには「ウソからでたまこと」「ウソも方便」など、ウソを肯定する言葉があります。でも、やはり他人を傷つけるようなウソはいけません。読者や視聴者との信頼関係で成り立っている新聞やテレビのニュースも、ウソはいけません。
ウソかまことか――見抜ける力は大切ですが、なぜウソをついているのか、ウソをつかなければならないのか。その理由や背景を含めて考えることが大事です。ウソではありませんよ。【毎日小学生新聞編集部】
(「疑問氷解 Vol.7(毎日小学生新聞)」より)