科学コミュニケーターの本田隆行さんと相棒のボットンが、日常のあちこちに潜む科学を探っていきます。今回はヒエッヒエッにしちゃう魔法の調味料、「塩と氷の関係」をナゾ解き!(「Newsがわかる2024年9月号」より)

氷って何度だったっけ?
水が氷になるのは、確か0度だよね。氷がとけるのも0度だったはず
そうだね。氷を机の上に置いておけば、じわじわ表面からとけていくよね。なんと、そこに塩をかけると、氷ってとけやすくなるんだよ

冷凍庫から出した直後の氷の表面の様子。氷の表面に塩をかけた部分はそこがえぐられるようにとけている(左)。一方、塩をかけない氷の表面は全体的にゆっくりとける(右)
何で!?
氷の表面でとけた水は塩水になるけど、実は塩水って0度じゃこおらないんだ
えええ、そうなの!?
氷はまわりの熱を奪いながらとけていくんだよ。もちろん表面にできた塩水からも熱を奪うんだけど、塩水って0度以下になってもこおらないから、表面の塩水から熱をさらに奪っていくことで氷はどんどんとけていく
なんと! ほぼ0度の塩水からさらに熱をとっちゃうなんて!
しかも、塩のつぶが水にとけるときにも、まわりから熱を奪う反応が起きるんだ

水(26.7度)を入れたカップに塩を入れ(左)、よくかき混ぜてとかす。すると塩水の温度は24.9度まで下がった(右)
えー! じゃあ合わせ技で、もっと温度が下がっちゃうってこと?
その通り! 氷に塩をかけるとこうしてあちこちで熱が奪われるから、氷だけのときよりもまわりを冷やすことができるんだ
塩にはそんな力があったなんて……ただしょっぱいだけじゃないんだな
あはは、そうだね。塩と氷の割合を工夫すれば、マイナス20度くらいまで冷やせるんだって。冷凍庫の中よりも冷たいね
そんなに冷たくすることができるんだ! 次は温度計で測ってみようっと

氷と水を入れて1分ほどかき混ぜると、氷水は1.8度(左)。同量の氷と水、塩50グラムを入れて1分ほどかき混ぜると、マイナス11.2度まで下がった(右)
そうそう、実はこの現象を起こせるのは塩だけじゃないんだよ
え! どういうこと!? 他にもあるの?
水がこおる温度が0度以下になる現象を「凝固点降下」って言うんだけど、純粋な水にとけるものであれば、塩以外でもこの現象を起こすことができるよ
そうなのーー!? いろいろ調べたけど、みんな氷と塩で実験してたんだ。だからてっきり塩だけ特別なんだと思ってた~!
水にとけるものといえば何があるかなあ?
砂糖! あとはじゅうそうとか、味の素(うまみ調味料)とかもかな? えー! さらに実験してみたい!
イラスト:こばやし あさみ
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