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コロナ禍における海外留学の効果~外国語大学の学生の変化と成長から~

コロナ感染症の影響は、世界経済、ビジネスや旅行、そして教育の在り方の変容等、多岐にわたりますが今回は、大学に入学した学生たちがコロナ禍における海外留学についてどのように捉え、前に進もうとしているのかを神田外語大学の学生の声や成長を基にお伝えしたいと思います。

神田外語グループとは

神田外語グループの歴史は1957年に創立された語学系専門学校の神田外語学院から始まります。その後、神田外語大学と4つの事業部(ブリティッシュヒルズ、神田外語キャリアカレッジ、神田外語キッズクラブ、神田外語マネジメントサービス)が設立され、今年で65年を迎えます。組織の理念は「言葉は世界をつなぐ平和の礎」。生涯を通じて個を磨き、学び続ける力を持つ人材「ライフ・ロング・ラーナー」の育成を目指しています。

神田外語大学グローバル・リベラルアーツ学部について

千葉県にある神田外語大学は2021年度に設立したグローバル・リベラルアーツ学部(以降、GLA学部)の1年生を対象に、オンライン留学とリアル留学を組み合わせた「2022年度海外スタディ・ツアー」を実施しました。GLA学部では、1年次の6月から7月にリトアニア、インド、マレーシア・ボルネオ、イスラエルの4カ国のうち、1つを選択し留学することで、世界の現実を知り、自分の学ぶ目的を発見する気づきの機会とする「海外スタディ・ツアー」を必修としておこないます。2022年の海外スタディ・ツアーは、6月に福島県天栄村にある本学の宿泊施設兼国際研修センター「ブリティッシュヒルズ」および本学キャンパスで約2週間実施した「海外スタディ・ツアー(国内研修)」と2022年7月8日(金)から約2週間実施する「海外スタディ・ツアー(海外研修)」を組み合わせたもの。学生たち一人ひとりが、国内研修で学習した内容を深堀りし、各国の歴史、文化、宗教やSDGsなどのテーマについて各国の学生たちと直接意見交換をおこなう等、現地に行かなければ体験できないアクティビティを中心に五感で味わうプログラムです。

2022年度海外スタディ・ツアーにおいて福島県双葉町の被災地をめぐるグローバル・リベラルアーツ学部の学生

大学で学ぶ目的を見つける1年次の6カ月間

グローバル・リベラルアーツ学部に入学した直後の6カ月間は「グローバル・チャレンジ・ターム」として、「何を学ぶのか」「自分は世界に対して何ができるのか」を考え、めざすべき道を見つけるための期間です。その大きな柱が、全学生が必修の海外スタディ・ツアー。まず世界に飛び込み、世界の現実を感じること。それが気づきとなり、自分が進むべき道を見つけることができる。そんな大きなきっかけとなることを目的とした6カ月で、彼らはどのように変貌したのでしょうか。

今回、インド研修に行った学生を研修前、研修中、そして研修後に取材し、探究学習を経て、どのように考えが変わって行くのか、その変化と成長の様子を知ることが出来ました。

まず、彼の言葉の中で一番印象的だったのは、「インドのごみ問題を課題解決のテーマにしようとしたのですが、その為にはその国の政治、経済を学ぶ必要がある、そして国を良くするためには教育は不可欠であるということに気づいた。そして現地に行って、改めて気付いたことは、日本とインドにおける『物理的な貧困と精神的な豊かさ』の違いについてでした。スラム街にいる貧困層の子どもたちを見て生活に困窮する中で暮らす子どもたちの目に光のある笑顔や会話から観られる幸福感を感じた」ということでした。日本で暮らす彼にとって、それはある意味での大きなショックであり気付きでした。それと共に、「真の心の豊かさ」について改めて考え直す機会にもなりました。日本の当たり前は海外での当たり前では無い。日本で教育を受けられるありがたみを改めて感じたということでした。

インドのスラム街近くでボランティアによる授業を受ける子どもたち ©PRAKASH SINGH / AFP

研修前、研修中、そして研修後の変化

研修前、研修中、そして研修後の取材を経て、彼の一番の変化は、物事を俯瞰で捉えるようになっているということでした。

研修前には、「インドのごみ、環境問題について学びたい」といった思いでインドに向かった彼は、研修後には「国の豊かさは政治、経済、そして教育が不可欠であること。そして、自分自身は将来、貧困層の人たちに向けた支援活動に携わりたい」といった明確なビジョンを持ちました。

大学時代の学びとキャリアビジョンの描き方

日本では、大学での専攻とは異なるキャリアを選ぶ学生も少なくありません。

一方、海外では、高等教育機関での学びとキャリアは密接に関わりを持つように思います。

神田外語大学のグローバル・リベラルアーツ学部の学生は、1年次にこの海外の研修を含めたグローバル・チャレンジ・タームの期間を過ごすことで、残りの3年半で何を学ぶかを真剣に考え、自身の将来に必要なスキルや資格を明確にして、その解決に取り組んで行きます。

最後に

取材の最後に、彼は「今回の海外研修の後にクラスメイトと話をして、他の人たちがどのような経験をしたのかを聞いて刺激を受けた。自分自身、インドに行って言葉、食事をはじめ異文化に触れ、課題が明確になりました。今後のキャリア形成を考えると、ITのリテラシーは必須なので、国家資格であるITパスポートの資格を取ること、ディベートの力をつけることなど、学生時代にはそういった力を付けて行きたい。」と生き生きと語りました。

彼らは3年次に半年間アメリカのニューヨーク州立大学で自分の選択した科目を専攻し、2度目の海外研修を経験します。全て授業の一環です。大学4年間をフルに活用し、自身の将来像を着実に描いていく、刺激を受ける仲間、そして経験、オンラインでは得られない「実践型・体感型」のキャリアビジョンの描き方、彼のわずか半年間の成長の過程を観る中で、このような多様な選択肢を提供できることが神田外語大学の強みであると感じています。

筆者:渡邉公代(わたなべ きみよ)
神田外語グループ グループコミュニケーション部 アシスタントゼネラルマネージャー。
神田外語グループの事業部であるブリティッシュヒルズ、神田外語キャリアカレッジ、法人本部広報部、企画部等で主にメディア対応を中心とした広報活動を行う。
現在は、神田外語グループの広報、イベント企画、Web広告、SNS、知的財産権やデジタル広報、広告の企画立案、運用ダイレクションを担当。