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作文・日記・読書感想文│作文って何?書く秘訣は?

「国語のテストはいい点数を取れるけど、実は作文が苦手」という子は意外と少なくありません。算数のように正解が決まっている問題と違い、作文には明確な正解がないため、 「どんな風に書けばいいの?」と、書く前に悩んでしまうのではないでしょうか。

本記事では、早稲田大学大学院で「文章表現」の講義を7年間担当したコラムニスト・近藤勝重さんの著書『書く子は育つ 作文で〈考える力〉を伸ばす!』から、「作文とは何か?」「望ましい作文を書く秘訣」をご紹介します。

本記事は2021年10月24日の記事を一部再編集したものです

 作文に上手や下手は関係ありません。別に競争ではないのですから。大事なことは、物事をどうとらえ、どんなことに気づいて書いているかです。「あっ、そうだ」と何かに気づいたり発見したりすると、誰かに話したくなるものです。そんなことを書けばいいんですね。

 作文の技術的なことはおいおい学んでいくとして、とりあえず考えてみませんか。そもそも作文って何なんだろうと。

◇作文ってなんだろう?

 作物という言葉があります。大根やネギなど田畑で作ったもののことです。それに倣って言いますと、作文は「文を作る」ということになります。

 では、「文」とは一体何でしょう。作物を作る時に必要なのは土です。みなさんが書く文にも土が必要です。その土となるのが「体験」です。

 土から一本の木が伸びて、「文の木」となります。文の木は節から成り立っています。例えば、「今日はお母さんと一緒に来ました」というひとまとまりの文があります。文中に「ネ」を入れてみてください。

 ……となりますから、この文は四つの節からできているとわかります。

 そして一本一本の文の木が集まって何本もの木ができたら、文章になります。仮に節のある竹が文の木だとしますと、竹林が文章ということになります。
すると竹の子は?竹林でしばらく育ててやらなければならない文の木の若芽です。

◇望ましい作文を書く秘訣とは?

 さて、ここで少しふれておきたいことがあります。望ましい作文を書く秘訣です。文章の本などによく挙げられているのは①自分にしか書けないことを、②誰にでもわかるように書くこと―――の2点です。

 ①の自分にしか書けないことは「体験」です。友だちと一緒の体験は自分だけの体験で はないのだから、自分にしか書けないことではない、と思ったら間違いです。同じ体験をしても、人が違えば感じることも思うことも違います。だから体験したことをちゃんと書くことが、自分にしか書けないことになる のです。

②の「誰にでもわかるように書く」というのは、「読みやすい文章で書く」ということです。
それには読み手のことを第一に考えなければなりませんが、このあたりのことは、著書書く子は育つ 作文で<考える力>を伸ばす!でくわしくふれるつもりです。

◇「書いて考える」ことで人間の成長につながる

 「寝る子は育つ」ということわざがあります。生まれたばかりの子はほとんど 一日中寝ていますが、それが健康の証だからです。そのうちその子も学校へ行くようになります。学校では先生から「よく学び、よく遊べ」といったことが言われます。これも日本のことわざです。

 学ぶだけ、また遊ぶだけに片寄ってはいけない。勉強一辺倒では頭も疲れる。 集中力にも限度がある。バランスが大切だというわけです。

 勉強は読んだり、書いたり、数えたりが中心ですが、なかんずく文章を書くことが大切だ、とぼくは思っています。文章は頭で物事の筋道を理解し、心でうなずき、納得しないと前には進めません。理解も納得もしていないのに前に進むことができたら、それは十分考えて書いていない文章でしょう。

 書いて考える。これは勉強する過程で、とても重要なことです。書いて考えることががそれぞれの「体験」になり、そこからさらにいい考えが生まれたりします。 人間の成長がそこにあるんですね。
 そうだとすると、こういうことが言えるのではないでしょうか。 寝る子は育つ。書く子はもっと育つ、と。

『書く子は育つ』が読める他、大人も子どもも読んでためになる厳選された書籍が楽しめます。

紹介した本はコチラ

 書影をクリックすると本の通販サイト「Amazon」のサイトにジャンプします

書く子は育つ

著者:近藤勝重 出版社:毎日新聞出版 定価:1.210円

本書の目次

第1章 文章を書くというのはどういうことか
第2章 文章は上手、下手よりテーマのとらえ方
第3章 文章は体験と気づく力の産物
第4章 五感と身体感覚をフルに生かそう
第5章 伝わってこその文章

著者プロフィール

近藤 勝重(こんどう・かつしげ)

コラムニスト。毎日新聞客員編集委員。早稲田大学政治経済学部卒業後の1969年毎日新聞社に入社。早稲田大学大学院政治学研究科のジャーナリズムコースで「文章表現」を出講中、親交のあった俳優の高倉健氏も聴講。毎日新聞では論説委員、「サンデー毎日」編集長、専門編集委員などを歴任。夕刊に長年、コラム「しあわせのトンボ」を連載中。『書くことが思いつかない人のための文章教室』、『必ず書ける「3つが基本」の文章術』など著書多数。コラムや著書の一部が灘中学校をはじめ中高一貫校の国語の入試問題としてよく使用され、わかりやすく端正な文章には定評がある。TBS、MBSラジオの情報番組にレギュラー出演し、毎日新聞(大阪)では「近藤流健康川柳」を主宰している。(この書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)