日本が目標とするビッグな金額から、普通の顕微鏡では見えない微小なサイズまで、半導体にまつわる数字を紹介します。(Newsがわかる特別編『半導体がわかる2026』より)
経済産業省は「2030年に国内で半導体を生産する企業の合計売上高15兆円を実現する」と発表。そのため、政府は「2030年度までに半導体・AI分野に10兆円以上の公的支援を行う」と決めています。国をあげて半導体産業の成長に期待していることが感じられる数字です。

トランジスタは小さいほど少ない電気で速く動きます。また、トランジスタが小さくなればICチップに多くのせられるので、計算能力の高い優秀なICチップを作れます。そのため、半導体メーカーはトランジスタの微細化に力を入れているのです。

現在、最先端のICチップ1個の上に作られるトランジスタの数は1000億個以上。ICチップがキャラメルほどの大きさだとすると、その上に世界人口80億人の10倍以上のトランジスタがのっていることになります。
アメリカの半導体メーカー・インテルの創業者の一人、ゴードン・ムーアは自分の経験から、「半導体の集積度(ICチップ1個にのるトランジスタの数)は1年半で2倍になる」と1965年に発表しました。1975年にはムーアは「2年ごとに2倍になる」と考えを修正。これが有名な「ムーアの法則」です。

それから約50年、ムーアの予測どおり半導体の電子回路はどんどん微細になって、1個のICチップにたくさん集積されるようになりました。この先も「ムーアの法則」は生き続けるのでしょうか?
最先端の半導体に作られるトランジスタのサイズは10nm(ナノメートル::1億分の1メートル)以下。そのサイズはどんどん小さくなっています。これを「微細化」といいます。微細化が進めば半導体の性能はより高くなり、省エネ、低コストも実現するため、半導体メーカーは微細化を目指して技術開発を進めています。
今の日本がもっている技術は40nmレベルですが、ラピダス(日本)はいきなり2nmの量産に挑戦。一方、TSMC(台湾)は、熊本で3nmの生産を検討していると2026年2月に発表しました。

◆トランジスタの大きさは本当に2nm?
「2nm世代の半導体の生産を始める予定だ」。実はこれは、「実際に2nm幅のトランジスタを作る」という意味ではありません。
二次元構造のプレーナ型が主流だった頃は、「トランジスタのサイズ(具体的にはゲートの幅)」で半導体の性能を表わすことができました。その後、三次元構造のフィン型が登場。構造や配線技術が進化したことで半導体の性能は大幅に向上します。この頃から「…nmプロセスノード」「…nm系」「nm世代」といった言葉が使われるようになりました。これは「…nmのトランジスタに相当する性能がある」という意味。その数字は、面積あたりのトランジスタの数から割り出しているようです。
2nmプロセスノードより微細なトランジスタを作るために半導体メーカーが開発・量産に取り組んでいるのがGAA(ゲート・オール・アラウンド)型です。その次の目標は、「オングストローム(1オングストローム=0.1nmメートル)」レベルのトランジスタになるのかもしれません。


Newsがわかる特別編
半導体がわかる2026
子どもでも電気系の知識がなくても大丈夫!
スマホやパソコン、自動車、AIなど、あらゆる電気機器に欠かせない「半導体」についてサクッと楽しく学びましょう。
第5弾となる今回は、あの大人気ゲーム機を動かす半導体を大特集。
ほかにも、福島第一原発の廃炉のために開発中のダイヤモンド半導体や、“ミスター半導体”と呼ばれた東北大学・西澤潤一先生も取り上げています。