スクールエコノミストは、私立中高一貫校の【最先進教育】の紹介を目的とした「12歳の学習デザインガイド」。今回は城北中学校を紹介します。

優れた志を備えた医師を目指せ!人格陶冶まで踏み込んだ高大連携教育
<3つのポイント>
①順天堂大学との高大連携で医学部進学希望者の向学心をサポート。
②多様なワークショップで医師のあるべき姿勢への気づきを促す。
③順天堂大学の医学教育を間近にし、医学部の日常を垣間見る。
人間教育重視の建学の理想は今に続く
城北中学校の創設は1941年。戦時体制が進みつつあった当時、都立戸山高校の前身である府立四中の校長を長らく務めた儒学者の深井鑑一郎と、深井の教え子である井上源之丞の二人が理想の教育を求めて設立した学校だ。教育目標は「人間形成と大学進学」。生徒が望むステージに進むために大学進学をサポートするだけでなく、広く社会に貢献できる人間力を育むことを目指している。
日頃の教育が結実し、東京大学をはじめとする難関大学の現役合格者をコンスタントに輩出している同校。例年、学年のおよそ1割は医学部志望者だ。進学指導部長の高橋慶臣教諭は「医学部は偏差値が高ければ合格できるわけではありません。近年、どこの大学でも入試で面接が課されており、医師としての真の適性が測られます。本校では、学力とともに人間形成も重視しています」と語る。
医学部志望者向け高大連携プログラム
そのための取り組みとして、2023年度からは理想の医師育成を目指して順天堂大学との高大連携プログラムがスタートした。高1生以上を対象としており、2年連続で参加する生徒もいる。プログラムは「StageⅠ」「StageⅡ」の2回に分けて行われる。
初回となる「StageⅠ」では、順天堂大学医学部附属病院の病理医のドクターを招いたワークショップを実施。その1つが「病名のネーミング」だ。「朝早く起きられない人や勉強が苦手な人に病名をつけるとしたら?」など、ゲーム感覚で取り組める内容だが、表面的な症状を見るだけでなく、その症状が現れた理由や背景を探りながら患者に向き合うというあるべき医師の姿勢におのずと気づくことできる。ほかに、バナナの熟し具合を病態の変化に見立てた病理診断の疑似体験も。「食べられない状態」になったものを「悪性腫瘍」とし、未熟から過熟まで成熟度がわずかずつ異なる複数のバナナの写真を見比べながら、どこで「食べられる」「食べられない」を線引きするかを議論・考察していく。
当日は同校OBであり、順天堂大学医学部で学ぶ学生と研修医も来校する。学生生活の紹介やアドバイスなど、生徒にとってロールモデルとなる先輩たちの生の声を聞くことで将来像が明確になる好機となっている。

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