高等専門学校。タイトルにある「高専」の正式名称です。ロボコンなどでその名前を聞いたことがあるかもしれません。
高専は高等学校と同じく、中学校を卒業したひとが入学することができ、入学後は5年一貫教育(商船学科は5年6カ月)。一般科目と専門科目をバランスよく配置した教育課程により、エンジニアに必要な豊かな教養と体系的な専門知識を身につけることができます。近年はこの高専のカリキュラムが海を越え「KOSEN」として東南アジアを中心に注目されています。
「高専に行こう!」では、実際に全国各地の高専の魅力や特徴などをレポートします。今回は福島高専を紹介!
福島高専は、5つの学科(機械システム工学科、電気電子システム工学科、化学・バイオ工学科、都市システム工学科、ビジネスコミュニケーション学科)を有する高等教育機関です。「持続可能な社会発展を目指し、グローカルに活躍する次世代技術者を育成する」をスローガンに掲げています。
特色ある教育として、例えば、地元企業と共同で実施する「カーボンニュートラル社会連携講座」があり、学生は第一線の専門家から太陽光や水素といったエネルギー技術の最新動向など、次世代の高度な知識を学べます。本校では他にも、国際交流イベントや福島国際研究教育機構 (F-REI)との連携など、多くの教育活動を行っていますが、近年の特色ある教育として以下の2つを紹介します。
●アントレプレナーシップ、キャリア教育
令和5年度、本科1年生と4年生に、アントレプレナーシップ入門と実践という選択科目を設置しました。これは、ビジネスコミュニケーション学科を有する福島高専ならではの科目です。起業家に必要とされる「問題を自ら発見して積極的に解決する」能力を養うため、起業に必要な知識のほか、ビジネスアイデアを創出するグループワークにより実践力を育成する内容となっています。学内試作工房に設置された3Dプリンターなどの工作機器を使って、アイデアを実際に検証することもできます。
また、1年生~3年生に対するキャリア教育として、各クラスに地元企業の方をお招きし、「仕事のやりがい」など、進路の参考となる内容をお話しいただいています。本校では他にも、インターンシップマッチングや企業説明会などの機会を提供しています。

●福島の復興を担う人材の育成
東日本大震災から14年、福島第一原子力発電所の廃炉にはさらに数十年がかかると言われています。福島の復興を担う人材の育成も本校の重要課題の一つです。廃炉人材育成の取組みとして、福島高専は、「廃炉創造ロボコン」を運営しています。
令和6年度第9回大会では、全国高専を中心に、国内外から17チームの出場がありました。課題は、ロボットを直接見ることができない環境での遠隔操作や階段の上り下りなど、廃炉技術を想定したものとなっており、学生は試行錯誤を重ね、ロボットを製作します。そこで身に着く技術と思考力は、復興を支える次世代技術者としての成長につながっています。
また、福島高専は、日本防災士機構から防災士養成研修実施機関としての認定を受け、5年生科目の「防災学」が防災士養成研修として認定されています。この科目は、全学科から受講でき、令和5年度には受講生のうち希望者29名が防災士試験に合格しました。資格を持つ卒業生の活躍が、地域の防災意識向上につながることを期待しています。

豊かな社会を維持発展させていくためには、科学技術によるイノベーションが不可欠です。福島高専では、次世代を担う技術者として必要な教育をこれからも行っていきます。
■福島高専へのアクセス
最寄りの駅はJR常磐線いわき駅です
※東京駅から特急ひたちで約2時間25分
※郡山駅から磐越東線で約2時間
JR常磐線いわき駅からタクシーで約10分
JR常磐線いわき駅前から新常磐交通バスで約10分