推しの城 おもシロ ランキング【月刊ニュースがわかる2月号】

高専に行こう! 阿南高専編

高等専門学校。タイトルにある「高専」の正式名称です。ロボコンなどでその名前を聞いたことがあるかもしれません。
高専は高等学校と同じく、中学校を卒業したひとが入学することができ、入学後は5年一貫教育(商船学科は5年6カ月)。一般科目と専門科目をバランスよく配置した教育課程により、エンジニアに必要な豊かな教養と体系的な専門知識を身につけることができます。近年はこの高専のカリキュラムが海を越え「KOSEN」として東南アジアを中心に注目されています。
「高専に行こう!」では、実際に全国各地の高専の魅力や特徴などをレポートします。今回は阿南高専を紹介!

 阿南工業高等専門学校は、1963年に機械工学科2学級、電気工学科1学級の体制で設立されました。2014年度には、1学科5コース制を導入し、現在は創造技術工学科の中に、機械、電気、情報、建設、化学の5専門コースを設けています。1年次は、全学生が一般教養や専門基礎を学び、2年次からそれぞれの専門分野に進み、より専門的な学びを深めていきます。また、1996年に設置された専攻科には、機械システム、電気電子情報、建設システム、応用化学の4コースがあり、さらに高度な専門教育を提供しています。

 阿南高専の教育理念は、「真理・創造・礼節」を校訓とし、「何を学んだか」よりも、「何を身につけたか」を重視しています。この理念を具体的に実践する活動の一例が、2021年に設立された阿南高専科学技術振興会AST倶楽部です。この倶楽部には複数のグループがあり、いずれのグループも企業から寄せられた課題の解決に取り組んでいます。その中でも、AST倶楽部(LEDイルミネーション)では、阿南市を代表する工業製品である発光ダイオード(LED)を活用し、地域の活性化や観光資源の発掘を目的に活動しています。
メンバーは学生24名と教員2名で構成され、LEDイルミネーションイベントの企画やオブジェの開発・設置などを行っています。特に力を入れているのが、小学生を対象としたLED工作講座です。学生たちが講師となり、LEDランプやLED花火を作る体験学習を提供しており、これまでに1,000人以上の子どもたちが参加しました。この取り組みを通じて、地元の産業であるLEDに親しんでもらうとともに、科学技術への興味を育む機会を提供しています。こうした活動は新聞やテレビなど各種メディアでも取り上げられ、その成果が評価され、2024年には阿南市長表彰を受賞しました。

 このように本校では、学生が地域自治体や企業と協力して、現実の課題を解決するための教育方法であるPBL(プロジェクト・ベースド・ラーニング)を積極的に導入しています。PBLは、プロジェクトを通じて課題に取り組み、その解決策を見出す学習法で、学生たちは理論だけでなく実践を通じて学びを深めます。このアプローチにより、学生は実際の現場で学んだ知識を活用し、具体的な成果を出す経験を積み重ねています。こうした経験は、学生たちに課題解決能力や社会人基礎力を養うだけでなく、卒業後に社会で求められる「自ら学び続ける力」を身につけることにもつながっています。

 阿南高専は、地域とともに歩みながら、未来の技術者を育てる場として、学問と実践を融合させた教育を推進しています。

【高専へのアクセス】
■バス
徳島阿波踊り空港~JR徳島駅 約25分
JR徳島駅~阿南高専前 約80分

■JR
JR徳島駅~JR見能林駅(JR牟岐線) 約60分

■車
JR阿南駅~阿南高専 約5分

■徒歩
JR見能林駅~阿南高専 約10分