高等専門学校。タイトルにある「高専」の正式名称です。ロボコンなどでその名前を聞いたことがあるかもしれません。
高専は高等学校と同じく、中学校を卒業したひとが入学することができ、入学後は5年一貫教育(商船学科は5年6カ月)。一般科目と専門科目をバランスよく配置した教育課程により、エンジニアに必要な豊かな教養と体系的な専門知識を身につけることができます。近年はこの高専のカリキュラムが海を越え「KOSEN」として東南アジアを中心に注目されています。
「高専に行こう!」では、実際に全国各地の高専の魅力や特徴などをレポートします。今回は富山高専を紹介!
富山高等専門学校は、平成21年10月に富山工業高等専門学校と富山商船高等専門学校が統合して創立されました。一つのカレッジとなった旧工業高専と旧商船高専は、それぞれ本郷キャンパスと射水キャンパスと呼ばれ、工学系の4学科と人文社会系と商船系がそれぞれ1学科という多様な学科で構成されています。国立高専の中でもユニークな学科構成の本校には、全国からたくさんの学生が集まります。さらに、国際ビジネス学科と物質化学工学科は女子の比率が高いことから、全国高専の平均女子学生比率が約5分の1に対し、本校は約3分の1であり、学生の多様性が高いことも富山高専の特徴の一つです。
国際ビジネス学科・物質化学工学科の授業の様子(富山高専提供)
数理・データサイエンス・AI 教育
本校では、多様な学科が互いに連携し、人工知能(AI)やデータサイエンスの技術を駆使し、それぞれの専門分野で活躍できる人材を育成するため、先進的な教育プログラムを実施しています。
本校のプログラムの特徴は、自分のパソコン(BYOD)によってIT教育や産学連携教育を進め、体系的な数理・データサイエンス・AI 教育を行っていることです。
教育内容の一例として、「Ti-TEAM(ティーアイチーム)」という活動があります。これは1年生全員が参加する学科横断型のプロジェクトで、企業におけるAIやデータの活用状況を調査し、レポートにまとめます。また、民間企業でAI関連の仕事をしている人を「AI副業先生」としてお招きして、最新の技術動向を学ぶ機会も設けています。
さらに、AI分野のトップ人材育成を目指し、地元の富山大学と連携しエキスパートレベルの高度情報専門人材を養成するプログラムも用意しています。これにより、高専専攻科修了後も大学院でより高度な学習を継続できる道筋を確立しています。
このように本校では、理論と実践を組み合わせた多角的なアプローチで、次世代のAI・データサイエンス人材の育成に取り組んでいます。この取り組みは文部科学省からも高く評価され、「数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度」において、リテラシーレベルプラスおよび応用基礎レベルの認定を受けています。
【富山高専へのアクセス】
本郷キャンパス
■バス
富山駅から国立高専(終点)下車(約30分)
■電車
電鉄富山駅から小杉駅下車(約14分)、徒歩15分
射水キャンパス
■バス
富山駅から国立高専射水(終点)下車(約40分)
高岡駅から富山高専(終点)下車(約45分)