Q お経って何を意味していますか? 聞いていても、わかりません。(千葉県東金市、小5)
ブッダの言葉や行い
A 東京大学でインド哲学仏教学を研究している加藤弘二郎さんに教えてもらいました。
お経は、仏教を開いたブッダの行いや言葉を、弟子が記録したものです。ブッダは、インドの王子だったゴータマ=シッダルタ(シャカ)のことで、シャカは厳しい修行の後にさとりを得て、ブッダとなりました。紀元前5世紀くらいのことです。
ブッダが亡くなった後、残された弟子たちは、ブッダが生前に行ったことや、話したことを思い出して言葉で伝えていきました。ブッダの教えが誤解されたり失われたりすることを恐れたからです。これらは分類、整理されたり、新たに加えられたりして、次第に文字としてまとめられました。紀元前1~2世紀ごろには、今のように記録されたものになったとされます。仏教が開かれてから2500年の間に、日本をはじめアジアの国々に信仰が広まり、各地でお経が書き写されました。分類の仕方によってお経の種類はさまざまです。でも、どのお経にも、他人に迷惑をかけないようにする、健康的な生活をする――といった人間が思い悩むことなく心安らかに生きるための方法などが書かれています。
お経は古代インドで使われていたサンスクリット語という言葉で書かれていました。それが、中国で漢字に翻訳され、6世紀に日本に伝わりました。漢字で書かれたお経をそのまま音読みしているので、一般の人が聞いても何を言っているのかさっぱりわからないかもしれません。また、同じ仏教でも、宗派によって唱えるお経は違います。どのお経もとても奥深い意味が込められているので、お坊さんなどに聞くとよいでしょう。
お坊さんでも、すべてのお経を覚えているわけではありません。でも、毎日毎日唱えるお経は、覚えるというより体の中に入ってしまっているそうです。
【毎日小学生新聞編集部】

(「疑問氷解 Vol.9(毎日小学生新聞)」より)