新聞、ニュースでよく見聞きする時事問題やワードを「ニュース時事能力検定」がわかりやすく解説します。
裁判では3審制がとられています。慎重に調べて、誤りを防ぐためです。判決が確定すると、その争いごとについて再び裁判を起こすことは原則としてできません。
それでも、もし判決が誤っていたら――。このことは特に、刑事裁判で問題となります。ある人の有罪が確定すると、その人には罰金や懲役などの刑罰が科されます。死刑になることさえあります。万が一、無罪の人に刑罰を科せば、それは重大な人権侵害です。そこで、こうした場合に備えて再審という仕組みが用意されています。
再審を巡っては2023年、「袴田事件」のニュースが報じられました。
この事件は1966年、静岡県で一家4人が殺害されたものです。袴田巌さんは強盗殺人などの容疑が逮捕され、過酷な取り調べの末に犯行を「自白」しました。裁判では無罪を主張しましたが、1980年に死刑判決が確定しました。
その後、「袴田さん以外の人物による犯行の可能性がある」「有罪の証拠を、捜査機関が捏造した疑いがある」などと裁判所が判断し、袴田さんは2014年、48年ぶりに釈放されました。袴田さんが長年求めてきた再審が始まったのは、2023年のことでした。
3審制――一つの争いごとについて、最大で3段階の裁判所による裁判を受けられる仕組みです。1審(第1段階)の判決に不服なら、一つ上の裁判所に控訴できます。2審に不服なら上告できます。控訴や上告がないか、最高裁が決着をつけると、判決が確定します。
再審――判決の確定後、重大な誤りがあるとわかったときなどに裁判をやり直すことです。民事裁判、刑事裁判の両方で定められています。刑事裁判の場合、新証拠が見つかって有罪判決への疑いが生じたなどに限って開かれます。戦後、死刑囚が再審で無罪になった例は4例あります(2023年末時点)。
(「2024年度版ニュース検定 公式テキスト&問題集「時事力」基礎編(3・4級対応)」より)
次回は8月28日に配信予定です。
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ニュース検定とは?
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「ニュース時事能力検定試験」(略称、ニュース検定)は、ニュースを読み解く力を多くの人に身につけてほしいと、日本ニュース時事能力検定協会(養老孟司・名誉会長)や毎日教育総合研究所、各地の新聞社が共催して、年3回実施しています。
1級~5級まで6段階ありますが、4級は主に中学生以上、3級は中高校生以上が対象です。3・4級対応の『ニュース検定 公式テキスト&問題集「時事力」基礎編(3・4級対応)』は、「脱炭素社会への道のり」「社会保障のこれから」「核兵器と向き合う世界」など22のテーマについて、グラフや図解を多用して最新ニュースをわかりやすく解説しています。また、「時事力Basic」でそもそもの基礎知識を身につけることができます。
4級と3級の検定問題は四つの選択肢から一つを選ぶ方式。各45問の約6割はこの本から出題されます。
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