新聞、ニュースでよく見聞きする時事問題やワードを「ニュース時事能力検定」がわかりやすく解説します。
日本で火力発電の割合が高まったきっかけは、東京電力福島第1原子力発電所事故(2011年)です。事故前は必要な電気の3割前後を原子力発電で賄っていましたが、事故後に国内の全ての原発が止まったため、火力発電を増やして不足分を補いました。
世界は「脱炭素」だが……
一方、世界では脱炭素社会の実現に向けて、火力発電をなるべく使わないようにする取り組みが進んでいます。特に「石炭」については、化石燃料の中で最も多く二酸化炭素を出すことから、全てなくす 動きがヨーロッパの国々を中心に広がっています。
地球温暖化対策を話し合う国際連合「気候変動枠組み条約」の会議(2021年)でも、日本を含む加盟197カ国・地域が石炭火力を段階的に減らすことで合意しました。
こうした中でも、日本政府は 石炭火力を「ベースロード電源」(発電費用が安く、安定的に発電できる電源)と位置づけ、完全にゼロにはできないと考えています。石炭は原油など他の資源よりも安価で、さまざまな国から調達できるほか、天候に左右されずに安定的に発電できるからです。このため、燃やしても二酸化炭素を出さない性質を持つ水素や アンモニアを使うなどして、火力発電所から二酸化炭素が出ないようにする新技術の開発を進めています。
環境団体から日本に「化石」賞
これに対しては国内外で批判があり、「環境配慮は見せかけだ」「再エネへの移行を遅らせる」などとして、日本は2019年から4回連続で「化石賞」(温暖化対策に消極的な国に贈られる不名誉な賞)を受けています。
脱炭素と電力の安定供給の両方を実現するためにはどうすればよいか、知恵を出し合う必要があります。
(「2024年度版ニュース検定 公式テキスト&問題集「時事力」基礎編(3・4級対応)」より)
次回は6月12日に配信予定です。
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ニュース検定とは?
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「ニュース時事能力検定試験」(略称、ニュース検定)は、ニュースを読み解く力を多くの人に身につけてほしいと、日本ニュース時事能力検定協会(養老孟司・名誉会長)や毎日教育総合研究所、各地の新聞社が共催して、年3回実施しています。
1級~5級まで6段階ありますが、4級は主に中学生以上、3級は中高校生以上が対象です。3・4級対応の『ニュース検定 公式テキスト&問題集「時事力」基礎編(3・4級対応)』は、「脱炭素社会への道のり」「社会保障のこれから」「核兵器と向き合う世界」など22のテーマについて、グラフや図解を多用して最新ニュースをわかりやすく解説しています。また、「時事力Basic」でそもそもの基礎知識を身につけることができます。
4級と3級の検定問題は四つの選択肢から一つを選ぶ方式。各45問の約6割はこの本から出題されます。
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