まだ食べられる! 食品ロス減らそう【ニュース知りたいんジャー】

まだ食べられる食品を捨ててしまう「食品ロス」を減らそうと、「食品ロス削減推進法」が2020年10月1日に始まりました。「賞味期限が切れた」「食べきれなかった」と食べ物を捨てていませんか。食品ロスを減らすにはどうすればいいか、考えてみよう。【野本みどり】


 ◇どれくらい捨てられている?


 農林水産省と環境省の推計によると、日本では1年間で643万㌧(2016年度)の食品が、まだ食べられるのに捨てられています。日本人1人当たりで計算すると1年で約51㌔㌘、1人当たり毎日茶わん1杯分のご飯を捨てているのと同じ量になるそうです。
 食品ロスは大きく分けると、家庭から出るものと、店などから出るものの二つに分けられます。店などから出る食品ごみを減らすことを義務づけた「食品リサイクル法」が01年に始まりました。00年度には547万㌧あった店などからの食品ロスは、16年度には352万㌧に減りました。
 政府は食品ロスを半分にすることを目標にしています。家庭からの食品ロスは291万㌧と、全体の45%を占めています。新しく始まった食品ロス削減推進法は、国民の取り組みが重要だとしています。


 ◇僕らの」が食品ロスを増やしているんだって?


 食べられるのに捨ててしまう。そのまちがいが起こりやすいのは、消費期限と賞味期限のちがいが正しく理解されていないからです。食品の表示を見ると「消費期限」と「賞味期限」があります。消費期限は、弁当やサンドイッチ、総菜、ケーキ、肉など日持ちがしない食品に表示されています。日付を過ぎると、急激に品質が劣化します。一方、賞味期限は、スナック菓子やカップ麺、缶詰など日持ちがする加工食品に表示されています。食品ロス問題ジャーナリストの井出留美さんは「消費期限が過ぎたものは気をつけた方がいいですが、賞味期限はあくまでおいしさの目安です」と言います。
 しかも賞味期限は、本来の期間より2割前後、短めに設定されていることが多いそうです。本当は10か月持つのに、8か月に設定されているということです。


 ◇お店の「3分の1ルール」も問題なんだって


 食品を扱う業界の中には「3分の1ルール」という約束があります。賞味期限が6か月の加工食品の場合、食品を作るメーカーは製造から2か月以内(最初の3分の1)の商品しか、スーパーやコンビニエンスストアに納められません。これを「納品期限」と言います。スーパーやコンビニは、製造から4か月以内(次の3分の1)の商品しか棚に並べて販売できません。これが「販売期限」です。それを過ぎると、賞味期限がまだ2か月あるのに、店に置いてもらえません。そして捨てられます。
 3分の1ルールは、法律ではありません。食品を買う消費者が、より新しい商品を求めるので、メーカーや店の間で習わしとして行なれていることです。しかし、ごみとして捨てるには、運ぶにも燃やすにもお金がかかります。エネルギーも使い、地球温暖化の原因の一つの二酸化炭素を出します。
 みずほ総合研究所の調査では、廃棄にかかるお金はスーパー全体で年間4490億円、レストランなどの外食産業は2986億円です。「関係ない」と思っていても、回り回って食品の価格に上乗せされ、私たち消費者の負担になります。


 ◇どうやって減らす?


 政府はスーパーやコンビニなどにお願いをして、賞味期間が6か月以上の菓子やカップ麺の納品期限の見直しを始めてもらいました。また、「年月日」まで表示している賞味期限の表示を「年月」だけにすることも進められています。
 コンビニも対策を始めました。ファミリーマートは2019年度から、ウナギ弁当や大型のクリスマスケーキ、恵方巻きを完全予約販売の方針にしました。
 これらの季節商品は、売れ残って捨てることが多いと毎年、問題になっています。2019年7月のウナギ商品の予約は、2018年の約2倍になりました。全体の販売額は20%減りましたが、売り上げ総利益は約70%増え、売れ残って捨てるためにかかるお金は約80%も減りました。
 他のコンビニでも、消費期限が迫った弁当やおにぎりなどを買うとポイントをつける実験をしています。食品メーカーは、余った製品の「フードバンク」への寄付を始めました。フードバンクは、十分な食事を取れない人たちに食品を届けます。レストランなどは「ドギーバッグ」を用意し、客が食べ残しを持ち帰れるようにする店も増えています。


 ◇私たちができることは?


 店で商品を取る時、手前でなく奥に手を伸ばして取っていませんか。井出さんの調査によると「(賞味期限が少し長い)棚の奥の商品を買ったことがある」人は89%もいました。すぐに食べるなら、賞味期限がせまった手前の商品を買うことで売れ残りが減り、ごみも減ります。
 食品ロスを減らすために、井出さんは食べ物を自宅で作ったり、野菜を育てたりすることを提案します。たとえば、牛乳からバターを作るのが大変だとわかれば、簡単には捨てられなくなります。肉や牛乳も「生き物の命をいただいている」と思うと、大切に思えてきます。
 今の日本の食品ロスの量は、飢えに苦しむ世界の人々へ食べ物を援助する量の2倍近くにもなります。国連の持続可能な開発目標「SDGs」では、世界の1人当たりの食料廃棄を30年までに半分に減らすことを目標にしています。身近なところから見直してみませんか。(2019年12月18日掲載毎日小学生新聞より)