Q なぜハチは人を刺すの?(大阪府、小5)
働きバチが巣を守るため
A ハチの仲間は世界に10万種以上いると言われ、大半は人を刺しません。人を刺すのはごく一部で、巣を作り、集団で社会生活を送るスズメバチ、アシナガバチ、ミツバチなどが挙げられます。ハチの生態について、森林総合研究所北海道支所長の牧野俊一さんに聞きました。
まずは、ハチの社会(家族)をのぞいてみましょう。巣の中には、1匹の女王バチ(母親)とたくさんの働きバチ(娘)、幼虫(働きバチの兄弟姉妹)がいます。女王バチは卵を産むことに専念し、働きバチが幼虫を世話しています。幼虫は新しい女王バチや雄バチとなり、遺伝子を次世代につなぐ担い手です。大切に守らなければなりません。
働きバチは、巣に危険が迫っていると感じた時、母親や兄弟姉妹を守るために人を刺すことがあります。人が巣に近づいたり、巣のある木をゆらしてしまった時などです。特に巣が大きくなる8~10月は働きバチの警戒心が高いため、注意が必要です。決してむやみに人を攻撃するわけではありません。
ハチは動くものに敏感に反応します。ブンブン周りを飛んでいても、手で払わず、じっとしているのがいいでしょう。もし襲ってきたら、すぐに遠くへ逃げてください。黒い物は刺されやすい傾向にあるため、山などでは白や黄色の服がおすすめです。
ハチの針は産卵管が変化したもので、人が刺されると毒液が体内に入ります。刺されたら、その場所をつまんで毒を出し、冷やしてください。痛みやはれは通常、数日から1週間で治まります。ただし、過去にハチに刺されたことのある人は、アレルギー反応を起こすことがあります。おなかが痛くなったり、最悪の場合は命を落とすことも。毎年、ハチに刺されて数十人が亡くなっています。
夏に飛んでくる蚊も人を刺す生き物ですが、蚊は産卵時期に必要な栄養を得るために、人を刺して血を吸っています。アブやブユも吸血性の生き物です。ハチとは人を刺す理由が異なります。【毎日小学生新聞編集部】
(「疑問氷解 Vol.9(毎日小学生新聞)」より)