【ニュースがわかる2024年6月号】巻頭特集は地震大国ニッポン 被害を減らすために

高専に行こう!大島商船高専編

 高等専門学校。タイトルにある「高専」の正式名称です。ロボコンなどでその名前を聞いたことがあるかもしません。
高専は高等学校と同じく、中学校を卒業したひとが入学することができ、入学後は5年一貫教育(商船学科は5年6カ月)。一般科目と専門科目をバランスよく配置した教育課程により、エンジニアに必要な豊かな教養と体系的な専門知識を身につけることができます。近年はこの高専のカリキュラムが海を越え「KOSEN」として東南アジアを中心に注目されています。
「高専に行こう!」では、実際に全国各地の高専の魅力や特徴などをレポートします。今回は大島商船高専を紹介!

 大島商船高等専門学校(本校)は、1897年(明治30年)10月1日に山口県「大島郡立大島海員学校」として創設され、120年を超える歴史がある高等教育機関です。本校の教育理念は「海洋で育まれた心豊かでたくましい海事技術者並びに創造性豊かな工業技術者の育成を目指す」ことであり、本科3学科、専攻科2専攻で構成されています。

令和5年3月に竣工した練習船大島丸(大島商船高専提供)

 本科は商船学科、電子機械工学科、情報工学科の3学科で、それぞれ異なる特色の教育を行っています。
「商船学科」 3年生からは航海コースと機関コースに分かれて、船舶運航、船舶管理・海上輸送管理に携わる海事技術者を養成します。
「電子機械工学科」 電気電子工学と機械工学の2分野を中心とし、それらに情報処理・計測制御を含めた専門教育を行い、実践的な技術者を育成します。
「情報工学科」 情報技術と通信技術が高度に融合したICT社会に対応できる情報技術者を育成します。
本科の進学率は20~30%程度であり、進学先は専攻科だけでなく、商船学科からは神戸大学、東京海洋大学、電子機械工学科および情報工学科からは豊橋技術科学大学、長岡技術科学大学をはじめとする多くの国公立大学への進学実績があります。
就職に関しては、柔軟な発想と創造力、主体性と豊かな国際感覚を持った技術者としての活躍が期待されており、関連企業への就職率は毎年ほぼ100%です。

 専攻科は、海洋交通システム学専攻と電子・情報システム工学専攻の2専攻です。本科の教育課程の上に、高度な専門知識と技術を教授し、創造性豊かで技術革新と社会情勢に対応できる高度な海運管理者・開発技術者を育成するために設けられた2年制の課程です。専攻科修了時には、大学評価・学位授与機構の審査を受け、大学卒と同じ「学士」の学位を得ることができます。
専攻科からは大学院への進学率が年々高まっています。過日、広島大学、海上保安大学校および商船学科を有する5つの商船系高等専門学校と包括協定が締結されました。学術×実践×実務による相乗効果の高い教育・研究を推進し、様々な分野の研究、高いレベルの国際的な人材育成に取り組むことになります。

 在校生はロボコン、プロコン、DCON、GCON※などの各種コンテストに積極的に取り組んでいます。特に、DCON2023では最優秀賞を受賞し、開発チームの専攻科生は新会社を立ち上げ、起業することができました。また、2024年9月には高専グローバルキャンプを予定しており、グローバルエンジニア育成にも力を入れています。
※ロボコン 全国高等専門学校ロボットコンテスト
プロコン 全国高等専門学校プログラミングコンテスト
DCON 全国高等専門学校ディープラーニングコンテスト
GCON 高専GIRLS SDGs × Technology Contest

第4回全国高等専門学校ディープラーニングコンテスト2023(通称:DCON2023)で最優秀賞を受賞(大島商船高専提供)

【大島商船高専へのアクセス】

■公共交通機関
JR山陽本線「大畠(おおばたけ)駅」下車。
バス2番乗り場から沖浦経由町立橘医院前行きに乗車し、バス停「大島商船高専」で下車。(所要時間約10分)

■車
山陽自動車道「玖珂IC」から国道437号線を経由し、大島大橋から右折後5分。(所要時間約30分)