置いておくとおいしくなる果物と、ならない果物がある。なぜ?【疑問氷解】

Q 置いておくとおいしくなる果物と、ならない果物がある。なぜ? (東京都世田谷区、小4)

追熟で酸味抜け、柔らかさが増す


 A 果物専門店「新宿高野」の久保直子さんと西田桂さんに聞きました。

 久保さんは「一般的に果物は、鮮度が高く、取れたてのほうがおいしいと言われていますが、中にはまだ熟し切らないうちに収穫し、『追熟』といって、常温にしばらく置いたほうがおいしくなるものがあります」と話します。南国の暖かいところで取れる、キウイフルーツ、マンゴーなどは、追熟が必要です。

 ただ、「置いておくと糖分が増える」というわけではないそうです。果物に含まれる甘さは、果糖という糖分によるものです。果糖は、果物がなっているときにできるので、摘んで収穫した後は増えません。

 しかし、果物のおいしさは、糖分(甘み)だけでなく、酸味(酸っぱさ)、歯ごたえ、柔らかさとの組み合わせで決まります。置いておくことで、酸味が抜けて、甘さをより多く感じられるようになったり、果実が柔らかくなって、口に入れたときに甘みが広がりやすくなったり、おいしいと感じるようになるのです。

  質問を寄せてくれた読者は「桃は置いておくとおいしくなるのに、ブドウは置いておいても変わらない気がします」と書いてくれていました。桃は、少し時間がたって柔らかくなった方がおいしく感じるからではないかと、久保さんと西田さんは話していました。ブドウは新鮮な方がおいしく、時間がたつと水分が抜けてしまいますが、酸味も抜けるので甘く感じられるそうです。久保さんは、「一般的に、イチゴやサクランボ、ビワなどは、取れたての方がフレッシュでおいしいとされています」と話します。ミカンなどのかんきつ類も、時間がたつと、水分が抜けるので、取れたてがお勧めです。

 果物は、買ってくるとすぐに冷蔵庫に入れて保管する人も多いですが、これはあまりよくないそうです。甘さは、温度によって感じ方が変わり、特に果物に含まれる果糖は、温度が低すぎると感じにくくなるので、冷たすぎない方がいいそうです。「新宿高野では、食べる2~3時間前に冷蔵庫で冷やしておくことをお勧めしています」と久保さんは話しています。【大井明子】 ………………………………………………………………………………………………………

◇果物を保存するときのポイント

・バナナは、冷やすと皮が黒くなるので冷蔵庫には入れません

・リンゴは、ほかの果物の追熟を早める炭酸ガス(二酸化炭素)を出します。硬いキウイフルーツなどを早く追熟させたいときは、一緒にポリ袋などに入れておきます

・ナシは、おしり(へたがついていない方)から熟すので、へたを下にしておくほうが、傷みにくくなります

・2段重ねでパックに入っているイチゴは、重なっているところから傷みやすいので、買ってきたらすぐに上段をはずします。
(新宿高野の久保さん、西田さんの話から)

                     (「疑問氷解Vol.6」より)