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虫はどうやって蜜を見つけるの?【疑問氷解】

Q 虫はどうやって蜜(みつ)を見つけるの?

花の色見分け 経験と本能で

 A 兵庫県の伊丹市昆虫館副館長の坂本昇さんは「花の色が虫を呼び寄せる一因になっていることはわかっています」と話します。

 ハチやチョウなどの昆虫は、人が認識できない紫外線を見ることができます。花は紫外線を反射したり吸収したりしていて、こうした働きが「蜜標(みつひょう)」と呼ばれる目印になっています。ハチやチョウはこの蜜標を見分けて、蜜のありかがわかると考えられています。

 ミツバチは、経験を通して花の色を見分け、蜜を吸いにいくと考えられています。まだ学習経験のないミツバチは、本能で青や黄色の花のほうへ飛んでいきます。蜜を見つけると、巣に戻ってから、巣箱から見た蜜のある場所の角度を、ぐるぐる8の字にまわりながら仲間に伝えています。これを「ミツバチのダンス」といいます。

 人工的につくった青色の花を置いておくと、アゲハチョウが蜜を吸いにやってくるといいます。坂本さんは「チョウは蜜がある花の色を本能で知っているようです。それぞれ種類によって色の好みがあり、すみ分けていると考えられます」と話します。

 ただ、伊丹市昆虫館では、さまざまな色のお皿に蜜を入れて置いていますが、色に関係なくチョウが蜜を吸いにくるといいます。「チョウもミツバチと同じように、蜜のある場所をある程度は記憶できるのではないか」と推測します。花ではなく木の樹液を吸うチョウもいるといい、匂いも関係していると考えられています。

 こうした虫たちは、花にとって重要な役割を果たしています。虫が蜜を吸うときに、おしべの花粉がめしべの先にくっついて受粉し、実ができるのを助けます。花は子孫を残すために、蜜で虫を誘っているのです。インドネシア、ジャワ島の森の草むらにすむハナカマキリは、体をランの花に似せて、ミツバチなどをおびき寄せて捕食します。花の色で蜜を見分ける虫の性質を利用しているのです。 【毎日小学生新聞編集部】

              (「疑問氷解 Vol.8(毎日小学生新聞)」より)