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使い捨てカイロ 温かくなるのはなぜ?【疑問氷解】

Q なぜ、使い捨てカイロは袋を開けると温かくなるの?(長野県上田市、小6)

鉄がさびる時の熱を利用

A 使い捨てカイロを製造、販売する桐灰化学株式会社の担当者に聞きました。

 遊具や自転車の部品など、鉄製の物がさびることがありますよね。さびが出るのは、水にぬれた鉄が空気中の酸素に触れ、鉄が酸化鉄(水酸化第二鉄)に変わるという化学変化が起きたためです。つまり、鉄+水+酸素→酸化鉄――ということです。

 鉄がさびる時、鉄から熱が出ています。日常生活で起きるこうした反応はゆっくり進むため熱を感じませんが、この化学変化を利用したのがカイロです。

 カイロの中身は主に次のものが入っています。鉄の粉▽水分を含んだ土▽鉄の酸化を早める塩類▽空気を取り込む活性炭――です。これらを包んでいるカイロの布には小さな穴が開いています。カイロ本体が入っているビニール袋を開けると、カイロが空気に触れます。カイロ表面の穴から活性炭が空気を内部まで取り込み、鉄の粉と土に含まれた水、酸素が反応して、熱が出る仕組みです。

 カイロの温度は約40~60度ですが、この適温をどのように保っているのでしょう。同社の担当者は「温度はカイロの中身が空気に触れる量で変わります。たくさん空気に触れると温度は上がり、少ないと低温になります。カイロ表面に開けた穴の数や、カイロのサイズで空気の量を調整しています」と話します。もし、中身がそのまま空気に触れる状態にすると、70度以上になります。危険なので、中身を出さないようにしましょう。

 この化学反応を使ったカイロは日本独自の技術で、1978年ごろに誕生しました。今では、同社の製品はアメリカやイギリス、中国など世界各国で販売されているそうです。

 風邪が流行している今の時期におすすめの貼り方を教えてもらいました。「頭を前に倒して首の後ろを触り、出っ張っている骨のすぐ下にカイロを貼っておくと、体が温まり、風邪の悪化を食い止める効果があるといわれます」(同社の担当者)。やけどをするので、くれぐれも、直接肌に貼らないでくださいね。【毎日小学生新聞編集部】

             (「疑問氷解 Vol.8(毎日小学生新聞)」より)