Q どうして蒙古斑は妹にはないのにぼくにはあるの?(愛知県)
メラニン色素の元が皮膚の奥にとどまる
A 蒙古斑というのは、赤ちゃんのお尻や腰、背中などに現れる青いあざのことです=下図。
日本人をはじめアジアの黄色人種(モンゴロイド)によく見られることから、この名前があります。生後すぐに現れますが、大半は成人するまでに消えてしまいます。
神奈川県立こども医療センターの馬場直子皮膚科部長によると、日本人では99%の赤ちゃんに蒙古斑があるそうです。ただ、蒙古斑が現れる場所や濃さ、また消えるまでの時間には、それぞれ個人差があります。だから「妹にはない」というのは、あくまで「ないように見える」だけかもしれない、というのが馬場部長の推測です。良く見ないとわからないほどうっすらとした色だったり、生まれてすぐ(1歳ぐらいまで)に消えてしまったりしたケースなどが考えられるといいます。
正体は皮膚の奥の色素
ところで蒙古斑の正体は何でしょう。人間の皮膚には、紫外線から皮膚を守るためのメラニン色素という物質を作り出す細胞があります。しかしその細胞が皮膚の表面にまで出てこられず、奥の方でとどまっているのが蒙古斑となって現れるのです。メラニン色素はほくろやシミ、そばかすの原因にもなるもので茶色ですが、皮膚の奥の方にあると青っぽく見えるのです。
黄色人種は白人に比べメラニン色素が多(おお)いため、現れやすくなっています。黒人はさらに多いですが、肌が黒いため目立たないようです。
蒙古斑は現れる場所もさまざまで手足などにも現れます。消えるまでの時間にも個人差があり、中学生や高校生になるまでかかる場合もあります。特に色が濃かったり手足などに現れた蒙古斑の中には、なかなか消えないものもあります。現在ではレーザー治療で消すこともできるので、心配な人は皮膚科で診察を受けましょう。(「疑問氷解 Vol.8(毎日小学生新聞)」より)