Q 犬のしっぽの解説をお願いします。(東京都中野区・小4)
うれしい時は右、怖い時は左寄りに振る
A 犬がしっぽを振っているところをよく見かけますね。とても機嫌が良さそうに見えますが、本当はどうなのでしょう?
動物行動学に詳しいアニー動物病院(東京都練馬区)院長、有泉幸雄先生に話を聞きました。
「犬は、しっぽを振ろうとして振っているわけではなく、脳からの刺激伝達により無意識的に振っていると思われます。2013年10月、イタリアのバーリ大学獣医学部などの研究チームがしっぽを振る方向によって、感情の違いが分かると発表しました。飼い主など親しみを感じる人には右寄りに、強そうな犬を見て怖いと感じるときには左寄りに振るというものです。同じように振っているように見えても、右と左では犬の気持ちは正反対ですね」と有泉先生。
ノルウェーの動物学者、トゥリッド・ルーガスさんが2009年に発表した「カーミング・シグナル」には、しっぽを振るときは、喜びと怒りを表すと書いてあります。やはり、しっぽを振っていても怒っているときがあるようです。社会性が身についている犬同士では、耳の角度や目などを見て、相手がどんな気持ちか分かるそうです。しかし、私たちがしっぽを振る犬を見て機嫌がいいと思い込むのは、間違いのようですね。
また、有泉先生は「しっぽを足の間に巻きこんでいる時は、おびえているときです。犬は、おしりのにおいをかぐと相手の情報が分かります。しっぽを振ると、においが広がり『僕は、こんな犬だよ』とみんなに知らせます。しっぽを巻きこんでいる犬は、おしりを隠し、においをかがせないようにして、自分が誰か教えないようにするのです。顔を隠す恥ずかしがり屋さんみたいな感じです」と説明します。
「しっぽを巻く」という慣用句は降参の意味です。「しっぽを振る」は、こびるという意味なので、こちらは犬の気持ちとはちょっと違うようです。【毎日小学生新聞編集部】
(「疑問氷解 Vol.8(毎日小学生新聞)」より)