国技と言われ、日本の伝統文化でもある相撲。1500年以上前から続く相撲の魅力や素朴な疑問を、「大相撲中継」の編集長である北出幸一さんが答えてくれる「教えて編集長!」。今回のキーワードは「横綱審議委員会」です。
Q 編集長、大相撲の横綱審議委員会っていったい何なの?
A 日本相撲協会がいろいろなことを相談する機関なんだ。相撲協会の規則で、横綱昇進の推薦や横綱についてのいろいろな問題を話し合って答を出す、と決めてあるんだ。昭和25年1月の春場所(当時の名称)で3人の横綱が休場して問題になったことから作られたんだ。横綱昇進の条件と言われる「品格、力量が抜群で、二場所連続優勝かこれに準ずる成績」は委員会の決まりなんだよ。
Q 定例の委員会でどんなことを決めるの?
A 委員会は年6回開催される本場所千秋楽の翌日の月曜日に開かれるんだ。横綱昇進がいつもあるわけではないので、横綱の成績や優勝力士について話し合うことが多いよ。春場所で優勝した若隆景については「これからさらに完成度が高まると期待」と言っているよ。令和3年の名古屋場所後に照ノ富士の横綱昇進を全会一致で決めたときは「根性、辛抱、我慢といった言葉を思い起こす」と高く評価しているんだ。
Q 編集長、どんな人が横綱審議委員になるのかな?
A これも相撲協会の規則で、相撲を愛して、相撲に深い理解のある人が選ばれる、と決めてあるんだ。定員は15名以内、任期は2年、再び選ばれることもあるよ。報酬はないので、本当に相撲が好きな人が「大相撲がよくなるように」と頑張っているんだ。委員長は委員同士で選んでいて、報道関係者や文化人、政治家などそれぞれの分野で活躍する人が選ばれているよ。今の委員長の高村正彦さんは政界出身なんだ。
Q 横綱審議委員会が横綱昇進に反対したことはあるの?
A 実はこれまで3回あるんだ。玉乃島(後に玉の海)、北の富士、貴ノ花(後に貴乃花)の3人で、いずれも後に横綱に昇進しているよ。このうち貴ノ花は優勝した平成6年夏場所に続く名古屋場所の成績が優勝に準じていないと反対されたんだ。その後、秋場所、九州場所と二場所続けて全勝優勝して文句をつけようがない成績で昇進したんだ。
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