これまで「お菊の皿」「時そば」「まんじゅうこわい」「転失気」「芝浜」「動物園」といった古典落語を立川志の春さんに英語で教えてもらいました。今回は特別に、落語家という仕事についてや、志の春さんと英語の関係を教えてもらいましょう!(「Newsがわかる2023年4月号」より)
落語は江戸時代から伝わる、日本の話芸です。一人の演者(落語家)が座布団の上に座り、豊かな声色や表情で物語の登場人物を全て演じます。笑える面白い噺(はなし)が多いですが、怖い噺、泣ける噺、色っぽい噺もあります。
うまい落語家の落語を聴くと、観客の頭の中には物語の情景が鮮明に浮かんできます。噺を聞いて脳内に絵を浮かべるので、落語は「見る」ではなく「聴く」と言います。
昨年12月に開催された東京・有楽町朝日ホールでの「立川志の春真打昇進披露落語会」。高座は観客の目線よりかなり高い位置につくる
落語家になるためには師匠の元に入門して修業をしなくてはなりません。入門した後、落語家には「前座」「二つ目」「真打ち」の三つの身分があります。
「前座」は修業中の身分で、毎日、師匠のお世話やお手伝いをして過ごし、自分自身の会を開催することはできません。「二つ目」になると、自分自身の会を開催して、自由に活動することができます。
「真打ち」になると、寄席で最後の出番(トリ)で高座に上がったり、自分の弟子を取ったりできます。私はコロナ禍の2020年4月1日に真打ちに昇進しました。
志の春さんの師匠である、立川志の輔さん(左)。志の輔さんに「弟子にしてください」とお願いをして、3番目の弟子となった
「前座」時代の志の春さん
最初に聴いた、「井戸の茶碗」です。正直者の清兵衛さんだからこそ、奇跡的なことが何度も起きる人情噺。
また、やっていて一番楽しいのは、「金明竹」。骨董屋で店番をする男と客、店主を演じ分けます。
座布団の上に座ったまま、身ぶりや手ぶり、そして扇子や手ぬぐいを活用しながら演じる
- 1
- 2