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【ニュースがわかる2024年5月号】巻頭特集は10代のための地政学入門

なぜ重要、献血とは?【ニュース知りたいんジャー】

 毎年8月21日は「献血の日」です。皆さんは、駅近くなどにある献血ルームや、会社や学校などに来る献血バスを見たことはありますか? 最近、献血をする10~30代が減っているそうです。献血がなぜ必要で重要なのかを、知りたいんジャーが調べました。【木谷朋子】


 ◇血をあげるの?


 献血とは、病気やけが、手術などで輸血を必要とする人のために、善意の気持ちでお金などをもらわずに血液を提供することです。
 献血には「全血献血」と「成分献血」の2種類があります。全血献血は、血液中のすべての成分を採ります。
 成分献血は、血液の中の特定の成分を採ります。血液には、赤血球や白血球、血小板や血漿が含まれますが、血小板や血漿といった成分だけを採って、残りを再び体内に戻す方法です。
 全血献血には、400㍉㍑献血と200㍉㍑献血があります。成分献血は600㍉㍑以下です。献血の種類によって異なりますが、16~18歳から献血ができるようになります。


 ◇なぜ必要なの?

 血液が必要な人たちは、輸血をしないと命にかかわります。医療技術が進歩した今日でも、血液は人工的につくることはできません。採取した血液を長期保存することもできません。また、献血してくれる人の健康に影響がないよう、1人の人が1年間に献血できる回数や量には限りがあるので、常に多くの人に献血に協力してもらわなければいけません。
 献血で集められた血液は、事故などのけがで、大量出血したときの輸血に使われると思われがちですが、それは全体のごくわずか。ほとんどは、白血病や再生不良性貧血などの血液の病気や、がんなどの病気の治療の際の輸血に使われます。そして、実は、輸血に使われるのは献血血液の約半分。残りの半分は医薬品をつくるために使われています。


 ◇いつ始まったのかな


 日本の献血は、国(厚生労働省)から唯一許可を受けている日本赤十字社が行っています。日本赤十字社が血液事業を始めたのは1952年ですが、50~60年代の日本では、各地にあった民間商業血液銀行という施設が、輸血用血液のほとんどを扱っていました。
 そして、その血液は売血によるものでした。売血とは、人々が売った血液のことです。お金のために何度も血液を売っていた人たちもいたため、血液の質は悪いと指摘されていました。
 64年3月、ライシャワー駐日アメリカ大使が暴漢に襲われて重傷を負います。手術のときの輸血で大使が肝炎になったことで、売血の危険性が大きな社会問題になりました。
 事件を受けて、日本政府は64年8月21日、安全な血液を供給できるよう、献血によって輸血用血液をまかなうことを閣議で決めました。このことから、毎年8月21日を「献血の日」とすることになりました。


 ◇献血者の数は?

 献血をしている人の数は、1日約1万4000人、1年間で約500万人(2022年現在)です。
 しかし、献血に協力している人の数は年々減っていて、特に10~30代の若い世代の献血者数は減少傾向にあります。13年の約242万人が、22年は約168万人でした。このまま少子高齢化が進むと、将来は献血者が不足し、必要な人に血液が行き渡らなくなる恐れがあります。
 そこで日本赤十字社血液センターは、中学生や高校生を対象に、輸血や献血の必要性や重要性などについて学ぶ献血セミナーを開いています。少しでも献血に関心をもってもらえるようにするためです。
 また日本赤十字社では、献血に協力してくれた人たちへの感謝の気持ちとして、希望者に血液の検査結果を郵送で伝えています。
 献血した回数が10回、30回、50回に達した人には、記念品を贈っています。愛媛県今治産のフェースタオル、福井県の若狭塗箸などです。


 ◇どこでできるの?


 献血は、主に献血ルームと献血バスですることができます。献血ルームは、都市部を中心に交通の便の良い駅などに設置されています。献血バスは、駅前や商店街、学校や企業など、人が集まる場所に来ています。
 採血時間は人によって違い、全血献血で10~15分、成分献血は40~90分ぐらい。採血時間のほか、献血前の受け付けに15~20分、献血後の休憩に10分以上が必要となります。
 献血で集まった血液は、献血会場から、各地の日本赤十字社の「ブロック血液センター」へ運ばれます。そこで、細かい検査や血液成分ごとに分離が行われて輸血用血液製剤となり、冷蔵庫や冷凍庫で保管されます。医療機関から血液がほしいと頼まれたら、24時間365日対応できる体制がが整っています。(2023年08月23日毎日小学生新聞より)