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【ニュースがわかる2024年5月号】巻頭特集は10代のための地政学入門

お坊さんの服はどこに売っているんですか?また、決まりはありますか??【教えてお坊さん】

しばられ地蔵で有名な東京都葛飾区の業平山南蔵院副住職で、臨床心理士でもある日吉円順さんに素朴な疑問をぶつける【教えてお坊さん】。今回は「お坊さんの服装」について話を聞きました。

 僧侶の着ている服(法衣(ほうい))をよく袈裟(けさ)と言いますね。元々、インドのお坊さんは、出家(しゅっけ)してお坊さんになると、何も持たなかったのでボロ切れのような布を恵んでもらい、それらを集めて着ていたと言われています。

 私の宗派は天台宗ですが、通常は黒い道服(どうふく)に「()袈裟(げさ)」とよばれる簡易的な袈裟を首にかけています。袈裟と呼ばれるのになぜ羽織らずに首にかけているのか。これは845年「会昌の廃仏」と称される、15代皇帝武宗による仏教弾圧がきっかけです。皇帝武宗は不老不死の部分に着目したが故に道教にのめり込み、仏教徒を激しく弾圧しました。当時日本から遣唐使で留学していたのが、慈覚大師円仁さん。中国で弾圧に遭遇した際、やむなく僧衣を脱ぎ、当時流行していた道教の衣服を着て、袈裟を細長く畳んで首にかけて難を逃れた姿が基になっていると言われています。姿や形を継承することは大切ではありますが、それよりも最も大切なのは、その時代に生きる一人一人であり、法の灯を絶やさないその心であるということを体現されているのではないでしょうか。

 さて、こんな理由で道服、輪袈裟姿が常なのですが、掃除などの作業をする際は作務衣(さむえ)を、そして肝心な法要の際は()(けん)(きり)(ばかま)五条(ごじょう)袈裟(げさ)を着ます。袈裟は縫い合わせた数によって、五条、七条・・・と様々な法衣があります。現在は、京都、東京を中心に法衣専門店があり、お店で仕立ててもらうオーダーメイドが主流です。

 因みに、お坊さんはこう見えて皆、袈裟や着物を畳むのが早いんです。修行中に鍛えられるのである意味、職人芸かもしれませんね。

【話を聞いたひと】日吉円順(ひよし・えんじゅん)さん

 天台宗業平山南蔵院副住職。臨床心理士・公認心理師。教誨師。大学院修了後、東京慈恵会医科大学病院緩和ケア科をはじめ都内近郊の総合病院にて臨床勤務した経験を活かし、がん患者さんの心のケア、認知症高齢者のケア、瞑想法の研究実践、受刑者への教誨活動、葬儀、グリーフケアなど多様な臨床活動を行っている。 近年は、地域社会の人々がお寺をとおして繋がりや絆を再発見できる、専門家による相談サロン「まどかプロジェクト-madocaproject-」を立ち上げ、地域活動の場を広げている。

円順さんが勤めている南蔵院について詳しく知りたい人はhttp://shibararejizo.or.jp/index.htmlまで