性同一性障害と診断された経済産業省の50代の職員が利用するトイレの制限をめぐって起こした裁判で、最高裁判所は7月11日、経産省によるトイレの制限を認めない判決を出しました。(「Newsがわかる2023年9月号」より)
経済産業省の50代の職員は、戸籍(※)上は男性ですが心の性は女性で、就職した後に性同一性障害と診断されました。この職員は女性として生活していますが、性別を変えるために必要な手術は健康上の理由で受けられませんでした。
しかし、職場では仕事をする部屋から2階以上離れたフロアにある女性トイレを使うように制限されており、職員は差別を受けたとして裁判をしていました。この裁判で最高裁判所は7月11日、経産省によるトイレの制限を認めない判決を出しました。
2019年の1審は「制限は違法」、2021年の2審は「制限を認める」として判決が逆転していましたが、今回の最高裁判所の判決で最終的に判断が決まり、国は制限の見直しを求められます。最高裁判所は、経産省が他の職員への配慮を度を超えて重視し、原告が不利益になることを軽く見ていたとして国の制限は違法だと結論付けました。
※名前や性別、生年月日などが書かれた、人の一生を記録、証明する公の文書
女性トイレの利用を制限された性同一性障害の職員が国に改善を求めた訴訟で上告審判決が言い渡された最高裁判所第3小法廷=東京都千代田区で7月11日
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