Q 熱帯魚はどうしてきれいな色をしているの?(福島県本宮市・小6)
仲間を見分けるため
A 「熱帯魚」は、熱帯や亜熱帯の暖かいところにすむ魚で、海の魚(海水魚)と、川や湖の魚(淡水魚)がいます。どちらも、色あざやかで変わった形のものが多いのが特徴です。東京都葛西臨海水族園の教育普及係、浅井ミノルさんによると、「なぜなのか」については、さまざまな説があるそうです。
一般的に、寒いところの魚は種類が少なく、1種類あたりの数が多いのに対し、暖かいところの魚は種類が多く、1種類あたりの数が少ないという傾向があります。熱帯では、たくさんの種類の魚がいるので、自分と同じ仲間を見分けて結婚相手を探しやすくするために、派手で特徴的な見た目になったのではないかと考えられています。
アラビア半島とアフリカの間にある、紅海の、色とりどりの魚たち。水温は25度ぐらいです。=東京都葛西臨海水族館
目立たないように
もう一つの理由は、天敵に見つかりにくくするためです。水そうで見る熱帯魚はカラフルで目立ちますが、海や川の中で見ると印象は変わります。たとえば、海の熱帯魚の多くがすむサンゴ礁の、サンゴや海藻は色とりどりなので、カラフルな方が目立ちません。
でも、熱帯魚が水の中でほかの魚にどう見えているか、人間にはわかりません。浅井さんは、「人の目には派手に見えても、魚たちにはちがって見えているかもしれませんね」と話しています。
群れで回遊するクロマグロ。背中は濃い青で、おなかは銀色です=東京都葛西臨海水族館
一方、マグロやサンマ、アジ、イワシなど、陸から離れた外洋を群れで泳ぎ回る魚は、熱帯魚に比べると見た目は地味です。泳ぎ回るのに適した流線型をしていて、天敵に見つかりにくい色なのです。背中は、上空から見ると海の色に溶け込み、海鳥から見つけられにくい青などの色です。おなかの側は白や銀色。海の中から見上げると、上から光が差し込んで明るく見えるため、天敵のほかの魚に見つかりにくいのです。「疑問氷解 Vol.11(毎日小学生新聞)」より