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【ニュースがわかる2024年6月号】巻頭特集は地震大国ニッポン 被害を減らすために

多様性の大陸 アフリカの時代が来る!!【ニュース知りたいんジャー】

戦争や飢えなど厳しいニュースを目にすることの多いアフリカ。見過ごしてはいけない大事な現実です。一方で、多くの若い人がいて活力に満ちたアフリカは、皆さんが働き盛りになるころ、もっと大きな存在になっています。多様性にあふれるその一面を知ってみませんか。【小泉大士】

◇子どもや若い人が多いって⁉

 アフリカは「世界で一番若い大陸」と言われます。日本は少子高齢化が進んでいますが、アフリカでは人口がどんどん増えています。

 国連の世界人口推計によると、2050年にアフリカ(日本が国と認めていない西サハラを含む55か国・地域)の総人口は、24億人を超えると見込まれます。世界の人口約97億人のおよそ4人に1人がアフリカ人になります。80年には、全人類の3人に1人がアフリカ人になると予測されています。

 アフリカで人口が最も多いナイジェリアは、国民の平均年齢が17歳。日本人の平均年齢は48歳なので、いかに若い人が多いかが分かるでしょう。ナイジェリアの現在の人口は約2億1000万人ですが、50年には約3億7000万人に増えると予測されます。

◇ITも進んでいる?

 アフリカ各国ではIT(情報技術)を活用したサービスが次々と生まれています。銀行や通信、道路といったインフラ(社会基盤)の整備が遅れている国もあるのですが、最新のデジタル技術で、そうした課題を解決しようとしています。

 ルワンダは「千の丘の国」と呼ばれるほど、いくつもの丘が連なっています。車で移動すると上ったり下ったりで大変です。代わりに時速約110㌔㍍の高速ドローンを飛ばして、郊外の病院に輸血用の血液などを届けています。

 固定電話がないから携帯電話が一気に普及し、キャッシュレス決済も当たり前。若い人たちがつくったスタートアップ企業が成長を後押ししています。

◇アフリカ料理ってあるの?

 50か国以上もあるので、料理はバラエティーが豊かです。そんな中で、東部や南部の伝統的な主食として知られるのが、白いトウモロコシの粉です。

 「パップ」や「ウガリ」、「シマ」など呼び名はさまざまですが、粉をお湯で練って固めたものです。色は白く、見た目はマッシュポテトみたいです。肉や魚を焼いたり、揚げたりしたものや、煮込み料理などと一緒に食べます。

 食べるときにスプーンやフォークは使いません。お皿に盛られた塊を食べやすい大きさに指でちぎって、手のひらでこねながら形を整えます。定番メニューですが、国や地域によって味や硬さ、作り方が少しずつ違うようです。

◇どんな暮らしなの?

 アフリカの人々は、家族関係や親戚とのつながりを大切にすると言われます。特に地方では、きょうだいが5~6人いるのは珍しくなく、10人以上の「大家族」に出くわすこともあります。日本との違いに驚かされますが、これには理由があります。

 まず「一夫多妻」の慣習が残る地域では、きょうだいといっても両親のどちらかが違う場合があります。よくよく聞いたら、きょうだいでなく、いとこだったなんていうこともあります。

 日本で「何人家族?」と聞かれたら、数えるのは親やきょうだいのほか、一緒に住む祖父母まででしょうか。アフリカでは、家にしょっちゅう出入りするおじさんやおばさんなども数に入れることがあり、「家族」の考え方の違いが垣間見えます。

◇国同士の協力や統一の動きは?

 アフリカ連合(AU)は、政治や経済での協力などを通じてアフリカの統合を目指す地域機構(国々の集まり)です。前身のアフリカ統一機構の発足から数えると、今年で創設60周年を迎えました。アフリカ大陸は、面積が日本の約80倍と広大です。でも、それぞれの国を見ると、規模が小さな国も多いのです。植民地支配などの歴史が背景にありますが、各国は独立後、文化や生活圏が近い周辺国同士で手を結び、経済発展などを実現しようとしてきました。

 AUはアフリカのすべての国・地域が参加していて、大陸全体を一つの経済圏として統合する取り組みも進んでいます。国をまたぐ商取引にかかる税金(関税)をなくし、貿易などのルールを統一することで経済活動を活発にして、東南アジア諸国連合(ASEAN)やヨーロッパ連合(EU)に並ぶような競争力をつけようとしているのです。

(2023年07月19日毎日小学生新聞より)