【ニュースがわかる2024年8月号】巻頭特集はテーマから探す! ミラクル自由研究

安倍さん銃撃1年 民主主義って何だろう?【ニュース知りたいんジャー】

安倍晋三元総理大臣が昨年7月8日、奈良市で参議院議員選挙の街頭演説中に銃撃されて亡くなってから、1年がたちました。事件は世の中に大きなショックを与え、事件直後は「民主主義の危機」などと言われました。改めて民主主義について考えました。【小山由宇】

◇選挙が重要と聞いたよ

 民主主義とは、国民が権力を握り、話し合いで物事を決めていくことをいいます。個人には、さまざまな自由が認められています。日本は憲法で「国民主権」を定めた民主主義の国です。

 国民は、選挙で国会議員や地方議員を選びます。国民の代わりに、これらの議員が話し合いをして、政策などを決めていきます。このため、選挙は重要で「民主主義の土台」といわれるのです。

 選挙が暴力にさらされると、議員を目指す人(候補者)は自由に、自分がやりたい政策を言えなくなるかもしれません。自由にモノを言えなくなれば、民主主義は成り立たなくなります。

◇政治家が狙われたことは?

 1960年には、社会党(当時)の浅沼稲次郎委員長が演説中に、右翼という思想を持つ少年に刺し殺されました。アメリカでも、63年にケネディ大統領が車に乗っているところを撃たれて死亡した事件などがあります。

 今年4月の選挙の最中には、岸田文雄総理大臣が和歌山市で爆発物を投げつけられました。岸田さんは無事でしたが安倍さんが亡くなって警備が厳しくなる中での事件に、衝撃が広がりました。

 暴力をなくし、話し合いで物事を決めていくのが民主主義です。いずれの事件でも、日本、アメリカの与野党は暴力を非難し、「民主主義を守ろう」などと訴えました。

◇反対の言葉はあるの?

 王政や全体主義、覇権主義といった言葉が反対語になります。王政とは、王様が権力を握って国民を支配することです。国民主権の民主主義と異なり、国民の権利や自由は限られています。

 全体主義や覇権主義は、第二次世界大戦の時の日本やドイツ、今の中国やロシアのような政治体制をいいます。当時、日本は軍隊、ドイツはヒトラーによる独裁で、国民の意見は尊重されず、指導者が国全体の利益になると思ったことが優先されました。アメリカは、第二次世界大戦を「民主主義全体主義」と位置づけていました。

 今の中国は習近平国家主席、ロシアはプーチン大統領による事実上の独裁です。ロシアには選挙がありますが、不正が指摘されています。

◇大正デモクラシーって?

 第二次世界大戦後に民主主義の国になった日本ですが、大正時代に「民主化」が進んだことがあります。英語で民主主義は「democracy(デモクラシー)」なので、大正デモクラシーといいます。

 明治に制定された大日本帝国憲法では、天皇に主権があったので、大正デモクラシー完全な民主主義とはいえません。それでも、かなり言論の自由が認められ、政党は選挙で議論を戦わせました。

 でも、こうした流れは昭和に入って途切れました。1932年の5・15事件で犬養毅総理大臣ら、36年の2・26事件で高橋是清・元総理らが日本軍の兵士に殺されます。自由な意見を言いづらい世の中になって、軍隊が独裁体制を強めていきます。


◇世界はどうなの?

 中国やロシアが海に支配を広げたり、他国に侵攻したりする中、アメリカや日本、ヨーロッパは民主主義を守ろうとしています。

 ただし、民主主義の国々には心配な出来事があります。
 アメリカのトランプ前大統領は「2020年大統領選挙で、自分は負けていない」と言い張り、支持者は21年に連邦議会を襲う事件を起こしました。ブラジルでも今年1月、ボルソナロ前大統領の支持者が選挙の負けを受け入れず、議会などを襲撃しました。

 背景には、貧富の差が広がって、不満を持つ人が増えたことがあります。自分たちの考えと違う政策のせいで貧しくなったなどと考え、他の意見を受け入れないのです。「国内で対立が深まると、民主主義は試練に立たされる」などと心配されています。

(2023年7月12日毎日小学生新聞より)