Q 原稿用紙の真ん中のマークは何ですか?(富山県砺波市、小5)
半分に折る時の目安
A みなさんが学校で使う原稿用紙といえば、20字×20行で400字のものが一般的ですね。これはJIS規格(標準化するために日本規格協会が決めた規格)に定められていて、文房具店などで購入するものの多くはこのタイプです。真ん中には、王冠を逆にしたようなマークがあります。
創業1882年(原稿用紙の製作は1939年から)、作家の川端康成や三島由紀夫、司馬遼太郎など多くの作家が愛用する原稿用紙を作っている満寿屋(東京都台東区)の専務取締役、川口昌洋さんに教えてもらいました。
「このマークは魚尾というもので、見た目が魚の尾に似ていることから、この名前がつきました。何のためかというと、紙を半分に折るときの目安にするためです。原稿用紙を表折りにし本にしてとじていた時代に、ページ数や本のタイトル、著者名などを書き入れて、とじた状態でも見やすくしていました。いつから使い始めたかは、はっきり分かっていません」と川口さん。
江戸時代の本に使われていた折り目なので、現在、学校でこの部分の書き方を習うことはないようです。今では、原稿用紙のデザインのように残っています。
また原稿用紙のマスの横にある行は「ルビ」といい、ふりがなや校正をするために赤ペンで手を入れるときに使います。江戸時代後期の漢学者、頼山陽が使っていた原稿用紙には、この「ルビ」が2行ずつありました。漢文(昔の中国の詩や文章)で書いていたので、返り点(漢文を読む時に使う記号)は漢字の左下に、送り仮名は右下に書くためだそうです。現在満寿屋では、魚尾のないものも多く、ルビのない障子マス(横長のマス)や字数が違うものなど作家の好みに合わせて作っています。【毎日小学生新聞編集部】
(「疑問氷解Vol.9」より)