Q ウマの目はどうして横についているの?(長野県安曇野市・小5)
近づく敵に気づくため
A 動物の体のつくりは、食べ物や暮らし方と密接な関係があります。上野動物園動物相談室の葛西宣宏さんは「まず動物をしばらく見て、どんなところで何を食べているのか観察してみましょう」と言います。
ウマは何を食べるでしょう。草ですね。ウマは草原にすむ草食動物です。草は動きませんから、立体的に見えなくても距離感がわからなくても、食べることができます。一方で、草食動物は肉食動物にねらわれ、食べられてしまうことがあります。
ウマの目がほぼ顔の真横についているのは、広い草原を見渡すためです。自分の身を守るためには広い範囲を見て、一刻も早く、近づく敵に気づかなければなりません。
ウマは顔を少し動かすだけで、自分のお尻が見えます。ということは、周囲がほとんど見えるのです。後ろの方から近づく敵がいても、気づいて逃げ出すことができます。
ネコやライオン、トラなどの目は、顔の前方についています。これは、動いているエサを捕まえるには、相手との距離感をしっかりつかみ、相手が立体的に見えなければならないからです。私たち人間の目も前についています。人間の祖先であるサルの仲間は、木の上で生活していました。木から木へ移るときに距離感がつかめなければ、落っこちてしまいます。ちなみにウサギは、360度ぐるりと見渡すことができるといいます。
目の位置だけでなく、瞳の形にも、動物の特徴が表れています。ヤギやヒツジの瞳は「一」の字のように横長です。草を食べながらまわりに危険が迫っていないか、見やすいようになっているそうです。葛西さんは、「動物の姿にはすべて理由があります。なぜそうなのか、じっくり考えてみてくださいね」と話します。(「疑問氷解Vol.10」より)