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【ニュースがわかる2024年5月号】巻頭特集は10代のための地政学入門

なぜかかる花粉症【ニュース知りたいんジャー】

鼻がムズムズ、目がショボショボ……。これから春にかけ、くしゃみや鼻水、鼻づまり、目のかゆみなどの症状に悩まされる花粉症の季節になります。最近は、子どものうちからかかる人も少なくありません。どうしてなるの? どうすればいいの? 知りたいんジャーも興味津々です。【長尾真希子】

◆どんな病気なの?

 花粉症とは、植物の花粉によって起きるアレルギーのことです。

 スギなどの植物が、種をつくるために空中にまき散らした花粉に反応して起きるのです。花粉が飛ぶ時期に症状が出るので、季節性アレルギー性鼻炎とも呼びます。

 原因となる植物は、スギのほか、ヒノキ、ブタクサ、シラカバ、イネなどがあります。子どもの場合は大人と違って、花粉症になっても症状の出方があいまいです。

・鼻や目を手でこする
・その周りの皮膚が赤くなっている
・目が充血する
・ぼーっとしている

――などの仕草や様子が出たときは、花粉症にかかっている可能性があります。小中高生を対象にした2013年度の全国調査では、花粉症を含むアレルギー性鼻炎にかかった人は、約10年前の9・2%から12・8%に増えています。  

◆どうやってかかるんだ?

 花粉自体に害はありません。ところが、人間が自分の体を守るためのシステムが間違って花粉を敵と勘違いすると、花粉を体から追い出すためにくしゃみや鼻水が出るようになります。これが花粉症です。

 細菌やウイルスなど、外からやってくる敵から身を守るため、私たちの体内には「免疫」という仕組みがあります。免疫の反応によって一度敵に出合うと、次に合ったときに間違いなく攻撃できるよう「抗体」というものを作ります。このため、花粉を敵と勘違いしてできた抗体が一定の量を超えると、花粉を体内から取り除こうとして花粉症の症状が表れるのです。

 花粉を敵と勘違いするようになった理由の一つとして、国がスギの木を植えすぎてスギ花粉の量が増えたことが挙げられています。  

◆どうやったら防げるの?

 花粉を体内に取り込まないようにすることです。

 そのために、花粉が飛ぶ時期にはなるべく外出を控えます。家の中に花粉が入り込まないよう、窓を開けたり、外で布団を干したりしないようにします。定期的に床を拭いたりカーテンを洗ったりしましょう。

 外出をする場合は、顔にぴったり沿うマスクや眼鏡、花粉よけのゴーグルを身につけるようにし、ウールなど花粉がくっつきやすい素材の服装は避けるのがオススメ。長い髪は束ね、つばの広い帽子をかぶったり手袋をしたりすると、花粉が付く量が減ります。

 帰ってきたら、うがいと洗顔も忘れずに。鼻からのどに入った花粉や顔に付いた花粉を取り除くことができます。

◆いつごろまで注意すればいいのかしら?

 スギの花粉は2月上旬から飛び始め、昼前後と夕方に多いといいます。

・晴れて気温がぐっと上がる日
・空気が乾燥して風が強い日
・雨上がりの翌日や気温が高い日が2~3日続いたあと

――は花粉が多くなります。

 花粉症を起こす花粉はスギだけではありません。スギより時期が遅いヒノキや、秋ごろピークを迎えるブタクサなどに反応する人、数種類に反応する人もいます。

◆効果的な治療法はあるのか?

 薬によって症状を抑えるのが「対症療法」です。

 「抗ヒスタミン薬」はくしゃみや鼻水に効果があり、鼻づまりには「抗ロイコトリエン薬」が効きます。目のかゆみには目薬があり、「ステロイド点鼻薬」は花粉症の症状全般に効果があるとされます。  

 薬が効かない人には、鼻の中の粘膜をレーザーで焼き、アレルギー反応が起きる場所を減らしてしまう「レーザー治療」もあります。

 このほか、「舌下免疫療法」というやり方が根本的な治療法として期待されています。アレルギーを起こす原因となる物質を少しずつ体に取り入れて体を慣らし、アレルギーが起こらないようにするという最新の治療法です。1日1回、アレルギーの原因物質を含んだ薬を、舌の下に垂らし、2分待ちます。薬の量を徐々に増やしながら3~5年続けます。子どもでも使える薬がありますが、花粉が飛んでいる時期は治療できないので、花粉が飛び始める約3か月前までに治療を始める必要があります。

(2018年2月21日「毎日小学生新聞」より)