【ニュースがわかる2024年11月号】巻頭特集は世界が注目! アメリカ大統領選

今も世界に影響残す、第二次世界大戦って?【ニュース知りたいんジャー】

ニュースでよく「戦後」という言葉を目にしたり耳にしたりしませんか? 一般的に第二次世界大戦の後という意味で使われます。第二次世界大戦はなぜ起こり、私たちの世界にどんな影響を及ぼしているのか、知りたいんジャーが調べました。【長岡平助】

◇第二次ってことは第一次もあるの?

 第一次世界大戦は、1914年に始まりました。
 当時、世界の中心は、イギリスなどヨーロッパの「列強」と呼ばれる国々でした。列強はアフリカやアジアなどを植民地として従わせる「帝国主義」を推し進めました。その中で、いくつもの争いや同盟が生まれ、国際関係は複雑になっていました。

 第一次世界大戦では、ドイツとオーストリア、オスマン帝国(現在のトルコなど)をはじめとしたグループと、イギリス、フランス、ロシアなどのグループが戦いました。日本は14年に、アメリカは17年に、それぞれイギリスなどのグループとして参戦しました。

 第一次世界大戦は、4年ほど続きました。戦争は史上初めて、経済など国の力を出し尽くして戦う「総力戦」になりました。この中でロシア帝国では17年に革命が起こり、土地や工場などの生産手段を国が管理する「社会主義」という考えを掲げる「ソビエト社会主義共和国連邦(ソ連)」という国が生まれました。ソ連は18年に第一次世界大戦から離れました。

 また科学技術の進歩で、毒ガスや戦車、飛行機、潜水艦などが戦場で使われ、兵士だけで1000万人ほどが亡くなりました。戦争は18年に、イギリスなどのグループの勝利に終わりました。

◇2回も世界大戦が起こるなんて

 第一次世界大戦後はイギリスやフランスを中心に、世界の形が作られました。負けた側は戦後、多くの土地や権利を失いました。特にドイツは軍備を制限されたり、重い賠償金を課せられたりしました。一方で、ポーランドやフィンランド、リトアニアなどのバルト3国など、大国に支配されてきたヨーロッパの国々が独立を果たしました。

 また平和を目指す「国際連盟」が誕生しました。日本も参加しました。しかしアメリカは参加せず、ソ連も当初は入っていませんでした。そのため、あまり実行力がありませんでした。

 こうした新しい世界の形を、ドイツと戦争に勝った国々が19年に結んだベルサイユ条約にちなみ「ベルサイユ体制」といいます。

 しかしベルサイユ体制は、長く続きませんでした。第一次世界大戦で戦場にならずに栄えていたアメリカで、29年に株価が暴落する大恐慌が起きました。社会主義のソ連を除く各国が打撃を受けました。各国は自分の利益を強く求めるようになり、その中でドイツ、日本、イタリアなどは力で国民を抑えつけ、外国を侵略する「ファシズム」という独裁体制をとるようになりました。

◇何でファシズムが生まれたの?

 ファシズムは、当時のイタリアの独裁者ムソリーニが率いた「ファシスト党」に由来します。第一次世界大戦で負けたドイツはもちろん、日本、イタリアはイギリスなどに比べて豊かではなく、豊かな国々が作ったベルサイユ体制に強い不満を持っていました。

 特にドイツでは賠償金などへの不満が根強く、そこに「国民(国家)社会主義ドイツ労働者党(ナチス)」を率いるヒトラーが台頭しました。ナチスは選挙で多数を占め、34年にヒトラーは総統になって独裁体制を敷きました。そして周囲の国に手を伸ばしました。これに対し、イギリスやフランスはドイツとの戦争を避けるため、ヒトラーの要求を認める「融和政策」をとり続けました。

 また日本では、軍を指揮する権利は天皇にあるという大日本帝国憲法の定めを利用し、軍が政府の言うことを聞かないことがしばしばありました。32年には中国東北部に日本があやつる「満州国」という国を造ったり、37年からは中国との戦争(日中戦争)を始めたりしました。その結果、海を挟んだアメリカを、強く警戒させることになりました。

◇どんな戦争だったの?

 第二次世界大戦は、ドイツがポーランドに攻め込んだ39年に始まりました。イギリス、フランスはドイツに戦争を始める宣戦布告をしました。

 ドイツは次々と勝利を収め、イタリアは40年にドイツ側で参戦。フランスは降伏し、事実上イギリスの支配下にあったエジプトなどアフリカでも、ドイツ側が勝ちました。
 この間、ドイツと互いに攻めないと約束していたソ連はポーランドを攻めたり、フィンランドを攻めたりして領土を奪うなどしました。バルト3国も自分のものにしました。また、アメリカはヨーロッパの戦争に関わらない立場でしたが、41年になるとドイツに対抗するため、イギリスなどに武器を渡す武器貸与法を作りました。

 ドイツは41年6月に約束を破ってソ連を攻めました。また41年12月には、日本がアメリカのハワイなどを攻撃しました。ソ連、アメリカも参戦し、第二次世界大戦は世界中を巻き込みました。
 当初はドイツや日本、イタリアが有利でしたが、長引く総力戦で劣勢になりました。43年にイタリアが降伏、45年5月にドイツも降伏しました。8月、日本の広島と長崎に原子爆弾が落とされました。史上初めて、核兵器が使われました。また、互いに攻めないと約束していたソ連が日本の支配地域に攻め込んできて、日本は降伏しました。

 大戦で亡くなった人は、民間人も含め5000万人以上といわれます。日本だけで300万人を超えるとみられます。また、ナチスはユダヤ人を「劣った民族」という誤った思想の下で虐殺し、約600万人が犠牲になったといわれます。

◇その後の世界にどんな影響を与えたの?

 戦後、平和を守るために「国際連合(国連)」が生まれました。国際連盟より強い力を持ちました。ただし、戦争に勝った側のアメリカ、イギリス、フランス、ソ連(現在はその後を継いだロシア)、中国の5か国が強い力を持ち、一国でも反対すれば大事なことが決められない仕組みです。

 また世界経済の中心は、ヨーロッパからアメリカに移りました。一方でソ連を中心とする国々のグループもありました。アメリカとソ連のにらみあいは「冷戦」と呼ばれました。日本は戦後、アメリカ側となり、ドイツはソ連側とアメリカ側の東西に分けられました。89年に冷戦が終わり、90年にドイツは統一しました。ソ連は91年に崩壊し、現在のロシアやウクライナなど15の国に分かれました。同じ旧ソ連でも、ソ連時代の扱いなどをめぐってロシア寄りの国と、そうでない国があります。

 戦後、植民地を治めていた国々が力を失った結果、アジアやアフリカでは独立が相次ぎました。この時、独立した国々はアメリカ側かソ連側かにつくことが多く、時にはそれぞれの影響下にある勢力同士で戦うこともありました。50年に始まった韓国(アメリカ側)と北朝鮮(ソ連側)の朝鮮戦争は、今も休戦状態のままです。

 また冷戦の陰で、独立した国々では独裁などが見逃されることがしばしばありました。冷戦が終わった今もその爪痕は残り、地域の紛争に結びつくこともあります。