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電車のダイヤのなぜ【毎小鉄道がわかる】

日本の鉄道は世界一正確

 「台風のため、列車のダイヤが朝から乱れています」とか「JRはこの春、ダイヤ改正をします」のようなニュースをときどき耳にしますね。列車が安全に正確に運行するために、大切なカギとなる「ダイヤ」。そのひみつとは……。

 「ダイヤ」は、電車の発車時刻や到着時刻を決めた、運行計画を図に表したもの。「ダイヤグラム」を略して「ダイヤ」と呼ばれています。

 ダイヤは、全国各地を走る路線の数だけあり、これをもとに時刻表が作られます。インターネットで検索できる、目的地までの電車の乗り換え案内サービスも、ダイヤのデータがもとになっています。

 駅で発車時刻にきた電車に乗り、予定通りの時刻に到着する。当たり前のようですが、世界的に見ると、日本の鉄道ほど時間に正確な国はほかにありません。

1日約6300万人が利用

 なぜ日本の鉄道は、予定の時間通りに運行できるのでしょう? その理由を、千葉工業大学情報科学部(取材当時)の富井規雄教授は、こう説明します。

 「東京や大阪などの都市圏をはじめ、日本は、人口が密集して暮らしている地域が多いのが特徴です。そのため、通勤や通学で多くの人を輸送するには、車よりも電車が適しています。10両1編成の電車では、一度に2000~3000人運べます。日本の鉄道利用者数は1日にのべ約6300万人で、世界一です。鉄道の需要が高く、人々の生活になくてはならない存在なので、正確性の高さが求められるのです」 

スジ屋が手がける職人技

 ダイヤはどうやって作られるのでしょう? 一般的なダイヤ図は、縦軸に駅の位置、横軸に時刻を取り、時間の進行とともに変わる各列車の位置を示します。この図で示した列車運行の線を「スジ」と呼び、ダイヤを作る専門職の人は「スジ屋」と呼ばれます。鉄道会社の計画部門の人が担当します。

イラスト・うちやまだいすけ

 スジ屋の仕事は、お客さんを安全で快適に運ぶ計画を立てること。そのために、各駅の駅員に混雑具合や利用状況を確認したり、運転士の勤務体制や、ほかの鉄道会社の乗り換え時間を調べるなど、多くのことを考えながら運行計画を立て、ダイヤを作ります。

イラスト・うちやまだいすけ

お客さんの協力がカギ

 事故や災害などの緊急時、電車が駅になかなか来なかったり、途中で止まってしまうことがあります。こんなときは、鉄道会社の輸送指令室にいる指令員の出番です。現場の状況を把握し、乗客の安全を考えながら、スジ屋が作ったダイヤを変更したり、遅らせたり、運休するなどの「運転整理」をします。

イラスト・うちやまだいすけ

 富井教授は「列車をダイヤに沿って安全に運行できるかどうかは、お客さんの協力も必要です。駅で待つ時に整然と並んだり、困っている人に声をかけたり、みんなが気持ちよく乗れるよう、思いやりの心を持つことが、何より大切です」と語っていました。

日本にダイヤを伝えた人は?

 ダイヤ図をはじめて日本に伝えたのは、外国人技師、ウォルター・フィンチ・ページ氏です。日本に鉄道が開通したのは、1872(明治5)年。新橋-横浜間です。イギリス人のページ氏は、1874~1899年、日本の鉄道発展のため、日本政府に招かれていました。1894年ごろまでは、列車の時刻改正や臨時列車の運転計画などを、ページ氏がすべて引き受けていたといいます。

ダイヤ図は手書き? コンピューター?

 以前、ダイヤ図はスジ屋によってすべて手書きで作られていました。現在は、計算やチェックなどにコンピューターを使いますが、すべてをコンピューター任せにすることはできません。

 各駅の事情に合わせた停車時間や、ほかの鉄道会社との接続時間、状況の把握などは、高度な意思決定が必要となり、コンピューターには判断できないことが多いのが現状です。しかし、ヨーロッパではコンピューターによるダイヤ作成の研究がかなり進んでいます。富井教授は「いずれ日本でもコンピューターに任せられるよう、開発が進むでしょう」と予測しています。【浜渦真子】

(2014年12月14日毎日小学生新聞「きょうのなぜ?」より)

話を聞いた人

富井規雄(とみい・のりお)さん

千葉工業大学情報科学部の富井規雄教授(2022年現在、日本大学生産工学部教授)

参考にした資料

 書影をクリックすると本の通販サイト「Amazon」のサイトにジャンプします

列車ダイヤのひみつ

著者:富井規雄著 出版社:成山堂書店


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