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【ニュースがわかる2024年5月号】巻頭特集は10代のための地政学入門

失明のない世界を目指して【起業家から君へ】

話を聞いたひと 北直史(きた なおふみ)さん ミタスメディカル代表取締役

 週刊エコノミストで連載中の「挑戦者2021」。優れたアイデアや斬新なサービスで世の中を良くしようとする企業の取り組みを紹介しています。本サイトでは、誌面で紹介された「挑戦者」たちがどんな子どもだったのかを聞きました。

※エコノミストオンライン「挑戦者2021」はこちら

 「医療が届かないところに医療を届ける」というミッションのもと、モンゴルやカンボジアなどの眼科医が少ない国で、目の遠隔診療を可能にする眼科診療機器を展開しています。

 眼科診療では通常、「細隙(さいげき)灯顕微鏡」という装置を使い、目のどこに、どのような病気があるのかを検査します。多機能なので、眼科医でも操作に慣れるまでには時間がかかります。

 そこで僕らは、眼科医療機器メーカーのタカギセイコー(長野県中野市)と共同で、装置の一部をスマートフォンで代替することによって、専門知識がなくても目の画像撮影を可能にする小型の医療機器「MS1」を開発しました。患者の額と頬を機器が支えることで、前後や上下のズレを防ぐことができ、眼科の診療経験がなくてもスマホで焦点を合わせて眼画像を撮影できます。

■こどもの頃はどんな性格でしたか?

 真面目な性格といわれることが多かったのですが、実際には負けずきらいで天邪鬼(あまのじゃく)で、人見知りが強かったです。一方で楽天的な性格でもあり、やってみればなんとかなるといつも強く信じていました。

■こどもの頃によく読んでいた本があれば教えてください。

 ドラえもんが大好きでした。

■仕事をしていてよかったこと、大変だったことを教えてください。

よかったこと:医療の世界は病院や診療所などが活躍の場の中心ですが、今の仕事ではアジアを中心に活動しています。日本の医療現場だけでなく、アジアの医療現場や医療職に限らないさまざまな職種の方達と仕事をともにし、交流を深められる点は今の仕事だからこそできたことかなと思っています。


大変だったこと:新しい事業を0から作っていくのは、あまり参考になるものがなかったり、多くの人を巻き込んで協力してもらうことが必要になる点が大変でもありますが、乗り越えた時の喜びはひとしおです。

■子どもたちにメッセージをお願いします。

 私にも子供が3人いるので彼らにむけてメッセージします。こどもの間に学校で学ぶ勉強には解答があり、それを正解できるかが大事です。でも大人になって出会う問題の多くは答えがありません。

 答えがないと言うよりは、なにが正しいかは捉え方や立場によって違ったりしますし、やってみないとわからないことも多いです。

 またインターネットに答えが書いていない問題も多くあります。でも自分の目的を達成するためにはこのような問題をといていくことが求められます。

 その際には現場で粘り強く情報をあつめたり、目的に賛同してくれる人を集め、皆に協力してもらって問題にぶつかっていく姿勢が求められます。このような姿勢は自分の興味のあること、好きなことを自分でどんどん調べ、深めて、その際にでてくる疑問に対して「どうして?なぜ」を繰り返し自分の頭で考えていくことでこども時代に伸ばすことができると思います。

 みなさんにはぜひ自分の大好きなことに長い時間、熱中し(もちろん勉強でなくともかまわないです。私の長男は恐竜博士です!)どんどん深めて世界で一番位詳しくなっていっていただければ、将来大人になったときに難しい問題にもビシッと対応できると思います。頑張ってくださいね。(聞き手=齋藤 信世 ・エコノミスト編集部)