子どもが作文好きになる5つの心得⑤【ニュースがわかるの本棚】

今週5日連続にわたって、『書く子は育つ 作文で〈考える力〉を伸ばす!』から一部抜粋してご紹介しておりました「子どもが作文好きになる5つの心得」が、いよいよ最終回となります。

最終回となる今回は、「文章上達の早道は?」という問いに、早稲田大学大学院で「文章表現」の講義を7年間担当したコラムニスト・近藤勝重さんが、著書の中でお答えいただいた箇所をご紹介します。

【前回の記事】子どもが作文好きになる5つの心得〈その4〉

「真似る」は「学ぶ」

よくある質問に「文章上達の早道は?」があります。
ぼくは「サル真似がいいようですよ」と答えています。

すると「真似るって?」といぶかる人もいますが、芸人さんなんか師匠の芸を真似て盗む、つまり学ぶといったことを言いますよね。

「サル真似は人間の証です、とは霊長類研究の第一人者で知られる京都大学の山極寿一教授の言葉です。真似るというのは他者を受け入れるということであると同時に、そのことで自分自身もわかってくる。いくら真似ても自分は自分、 他者にはなれませんと教授はテレビで話していました。

それでは作家の方々がおっしゃる文章上達法はどうなのでしょうか。批評家の小林秀雄氏の『モオツァルト』に出てくる次の言葉は有名です。

「模倣は独創の母である」

谷崎潤一郎氏の『文章読本』には「出来るだけ多くのものを、繰り返して読むこと」とあります。丸谷才一氏の『文章読本』では「作文の極意」は「ただ名文に接し名文に親しむこと、それに盡(つ)きる」とあります。

谷崎潤一郎氏の『文章読本』には「出来るだけ多くのものを、繰り返して読むこと」とあります。丸谷才一氏の『文章読本』では「作文の極意」は「ただ名文に接し名文に親しむこと、それに盡(つ)きる」とあります。

左から、中公文庫『文章読本』谷崎潤一郎著、中公文庫『文章読本』丸谷才一著

興味深いところでは吉村昭氏のエッセイにある次のくだりです。 「志賀直哉、梶井基次郎、川端康成、大岡昇平、永井隆男氏らの諸作品が、私の眼の前にそびえていて、私はそれらの諸氏の秀れた作品の文章を筆写したりしていた」
「真似る」は「学ぶ」なんですね。

中国行きのスロウ・ボート

中公文庫『中国行きのスロウ・ボート』村上春樹著

ぼくのおすすめの筆写のお手本は、村上春樹の初めての短編集『中国行きのスロウ・ボート』に所収の「土の中の彼女の小さな犬」で描かれたリゾート・ホテルの食堂の情景です。

ぜひ原稿用紙に手書きで書き写してみてください。手で書けば一字一句が伝わってきますよ。

まずはそうしてお父さん、お母さんが筆写して感覚をつかんだあと、子どもたちに国語の教科書などに出てくる文章を選んでもらい、「真似るは学ぶだよ」と教えてあげてください。

『書く子は育つ』が読める他、大人も子どもも読んでためになる厳選された書籍が楽しめます。

紹介した本はコチラ

タイトル:
書く子は育つ
作文で〈考える力〉を伸ばす!
著者:近藤勝重
出版社:毎日新聞出版
定価:1,210円

全国書店、毎日新聞販売店でお買い求めいただけます。

書く子は育つ 近藤勝重

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著者プロフィール

近藤 勝重(こんどう・かつしげ)

コラムニスト。毎日新聞客員編集委員。早稲田大学政治経済学部卒業後の1969年毎日新聞社に入社。早稲田大学大学院政治学研究科のジャーナリズムコースで「文章表現」を出講中、親交のあった俳優の高倉健氏も聴講。毎日新聞では論説委員、「サンデー毎日」編集長、専門編集委員などを歴任。夕刊に長年、コラム「しあわせのトンボ」を連載中。『書くことが思いつかない人のための文章教室』、『必ず書ける「3つが基本」の文章術』など著書多数。コラムや著書の一部が灘中学校をはじめ中高一貫校の国語の入試問題としてよく使用され、わかりやすく端正な文章には定評がある。TBS、MBSラジオの情報番組にレギュラー出演し、毎日新聞(大阪)では「近藤流健康川柳」を主宰している。(この書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)