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スクールエコノミスト2024 WEB【 北豊島高等学校 通信制課程編】

スクールエコノミストは、私立中高一貫校の【最先進教育】の紹介を目的とした「12歳の学習デザインガイド」。今回は特別編として、北豊島高等学校 通信制課程を紹介します。

小さな成功体験を積み重ねて目標進路を実現する【北豊島高等学校 通信制課程】

<注目ポイント>

 北豊島高等学校の通信制課程では、生徒一人ひとりの可能性を信じ、きめ細やかなサポートを提供している。高等学校卒業、進学の夢を諦めずに追い続けることができる同校の理念と、2コースに分かれた教育カリキュラムについて取材した。

一人ひとりに向き合える学習環境をめざして

 学校法人北豊島学園の創立者・秋上ハルは、「一人ひとりの生徒に無限の可能性がある」という信念のもと、1926年に全日制女子校を開校。不登校が社会問題となり始めた1992年に、通信制課程を開設した。当初は塾と連携し、数千人規模の生徒を受け入れていたが、「教員が一人ひとりの生徒に向き合える環境」を重視し、少人数体制へと移行。これにより、目標とする進路の実現を手厚くサポートできる体制が整えられた。

 同校に入学する生徒のバックグラウンドは様々だが、望月壽範教頭は、「入学前に、生徒の過去についてこちらから細かく聞くことはありません」と語る。今いる生徒の状態を見て、未来に目を向け、夢に向かって一緒に歩みたいという思いがあるからだ。

北豊島高等学校通信制課程 望月壽範教頭

小さな成功体験を積み重ねた学びで目標進路を実現

 同校の教育の大きな特徴は、一人ひとりの希望に合わせた進路計画を立て、卒業時の進路未決定者ゼロを目標にしていることだ。その結果、在校生の9割以上が現役での進路決定を達成し、2023年度まで7年連続で100%の生徒が卒業している。

 この実績を支えているのが、オリジナルコースとスタンダードコースの2つのコース編成だ。

 オリジナルコースは週2日の登校を基本とし、最大週5日まで登校日を増やすことができる。望月教頭は、「学び方のルールはなく、登校回数や学習スタイル、科目選択はすべて生徒自身で決められます。最初は週2日で無理なく始め、慣れてきたら担任やカウンセラーと相談し、少しずつ登校日を増やすこともできます。小さな成功体験を重ねながら、一人ひとりに合った学び方をカスタマイズできるのが本校ならではのスタイルです」と話す。

 スクーリングは週2回、月・土曜に行われ、火・水・木曜には授業形式の「平日特別講座」がある。主要4教科11科目の中から、全日制高校に近い通学スタイルで、学びたい科目を自由に選べ、苦手科目の克服や得意科目の深化、受験勉強などに活用できる。別途講座料はかからないので、気兼ねなく受講できるのも魅力だ。

 さらに、夏季・冬季に開催する特別講座「チャレンジ・プログラム」は、自己紹介やプレゼンなど大学の面接入試を想定した「表現講座」、臨床心理士が担当する「心理学講座」、英語のネイティブ教員とコミュニケーションを楽しむ「国際理解」、デザインを学ぶ「デザインワークショップ」、「保育・介護体験」、国内外への語学研修、学年を超えた交流をはかる遠足などがある。これらは体験的・交流的な活動を通して、主体的・創造的に学ぶ姿勢を培い、卒業後の進路について考察を深めるキャリア教育としての側面もある。

 スタンダードコースは、週1回のスクーリングを基本とし、自学自習を基本に学習を進めていく。仕事や子育てをしながら高校卒業をめざす生徒や、スポーツ・芸能分野に秀でた「プロの卵」にとって理想的な学習システムとして注目を集めている。年間授業料は約25万円(2023年度の例)だが、就学支援金や授業料軽減助成金制度を活用することで、実質0円となる経済的なメリットも魅力だ。