【ニュースがわかる2024年11月号】巻頭特集は世界が注目! アメリカ大統領選

スクールエコノミスト2024 WEB【獨協中学校編】

スクールエコノミストは、私立中高一貫校の【最先進教育】の紹介を目的とした「12歳の学習デザインガイド」。今回は獨協中学校を紹介します。

生き方や世界観がひっくりかえる体験。自分の関心のある分野に飛び込もう!

<注目ポイント>

①中学3年生を対象に、放課後中心の「ドイツ語講座」を開講

②国内で6校しかない「PASCH」パートナー校に認定されている

③異文化体験で心が揺さぶられる「ドイツ研修旅行」を実施

ドイツ語の授業で複眼的な思考を醸成

 ドイツの文化と学問を学ぶ目的のもと、1883年に獨逸学協会学校として開校した獨協。創立当時からドイツと深いつながりがあり、現在も日本国内にいながらドイツの文化や知識にふれる機会が多い。さらにケルン大学の教育実習校にもなっている。

 獨協高校では、第2外国語としてドイツ語の履修が可能となっており、毎年2割程度の生徒がドイツ語を学んでいる。そして、今年度から中3を対象としたドイツ語講座がスタートした。週2時間、主に放課後に行われる希望制の講座は、ドイツ語専任教諭のほか、ネイティブ教員が授業を担当する。坂東広明教頭は、「早い段階からドイツ語を学ぶことで、ドイツ語技能検定試験のより高いレベル・中級(B1)に合格できる可能性が生まれ、高校での留学や研修の機会が広がります」と開講の狙いを語る。

 英語に加えてドイツ語を学ぶことは、単に2つの外国語をマスターする以上に、生徒たちに多様な価値観をもたらすと坂東教頭は話す。「たとえばアメリカ的な視点、ヨーロッパ的な視点といった国や地域の異なる考えを比較して気づくことも多いはず。2つの言語を学ぶことで視野が広がり、複眼的な思考が身につくのです」と力を込める。

海外研修や留学プログラムも豊富

 コロナ後は、海外に出て多くの学びを吸収する機会も再開している。たとえば中3~高2の生徒を対象にしたドイツ研修旅行は、夏休みの10日間を使って行われる人気のプログラムだ。パートナー校のケーテコルビッツ校のほかドイツの都市を訪れ、歴史、文化、環境、難民、人権など様々な学びを体験する。研修テーマは年ごとに異なり、動物保護施設やダッハウ強制収容所跡の見学など、単なる観光地めぐりではない、命や平和に関する深い学びもあり、生徒たちの生き方や世界観を揺るがす貴重な体験の場となっている。

ドイツ研修旅行ではケーテコルビッツ校を訪問

 また同校は、ドイツ外務省が主催するプロジェクト「PASCH(パッシュ)」のパートナー校に認定されている。国内では同校を含め6校のみが認定されており、その一環として行われている研修(青少年コース)には、同校から毎年1、2名の生徒が参加している。ドイツ各地で世界中から参加した学生たちと3週間一緒に生活し、語学学習やプロジェクトに取り組む。そしてその後、取り組みや経験についてブログで報告発表する。

 ドイツ政府が企画するプログラム(高等学校生徒等招へい事業)もある。夏休みに4週間ドイツに滞在し、そのうち2週間は体験留学&ホームステイで、2週間はドイツ国内を観光する。滞在先はベルリン、ハンブルグ、ミュンヘン、ボンなどドイツ全土にわたる。ドイツ人の生活や文化をより深く知ることを目的にして行われており、ドイツ留学や就職を視野に入れた学生の参加も多い。

 またドイツ以外の国際教育も人気だ。大自然と交流できるイエローストーン・サイエンスツアーは、中3~高2を対象にしたプログラムで、アメリカのイエローストーンで地球環境に関するサイエンスキャンプを体験する。イギリスのロンドン郊外で実施されるホームステイは、中3~高1が対象で、英会話のスキル向上に役立っている。今後は留学を希望する生徒の増加を受け、オセアニアへの短期留学やターム留学もスタートさせる予定だ。