10代のうちに強くする! 骨のチカラ【月刊ニュースがわかる5月号】

スクールエコノミスト2023 WEB【本郷中学校編】

多様なテーマであふれた卒業論文 「卒論発表会」でテーマ選定や書き方も伝授

 本郷の卒論は、枠にとらわれない自由な発想で、多様性のあるテーマも多い。

 海洋プラスチックゴミの深刻な問題を取り上げた本を読んだというAさんは、「どのように私たちはプラスチックと付き合っていくのか」と題した卒論を執筆。ゴミ分別について地元スーパーを調べたり、市役所で話を聞くなどして仮説を立て、検証する流れがしっかりしている点が高く評価された。

 昆虫食について研究したBさんは、「バッタの大量発生は日本人に何をもたらすのか」をテーマに選定。アンケートツール「Googleフォーム」を活用し、70名の生徒に昆虫食に関する調査を実施。環境負荷の低さ、栄養価の高さなどの意義にも言及するなど、コロナ禍で活動が制限される中、ICTを使って説得力のある論文に仕上げた点が評価された。

 Cさんのテーマは「スマホ文化の弊害~日本の現状と問題点~」。様々なデータをもとにスマホ依存について考察。グラフを多用し、因果関係に基づいて理論を進めている点が秀逸と金子教諭は振り返る。

 Dさんは、少年犯罪を特集したテレビ番組を見て「少年非行者の社会復帰について」という卒論を執筆。日本で非行少年の検挙数は減っている一方、再犯率は横ばいで推移していることに着目。非行少年の就労支援をするデンマークの機構「ハイ・ファイブ」の取り組みを例に挙げ、日本との違いを考察。先行研究の紹介だけでなく、一歩先の提言にまで踏み込んでいる点が卓越していたという。

 優秀な卒論を執筆した生徒は、中2~3、高1を対象とした「卒論発表会」でプレゼンをする。卒論の内容はもちろん、テーマの選び方や調べ方も詳しく披露する。優秀な先輩に触発され、後輩たちも高い意欲をもって卒論に挑む。事実、5年前に発表会を始めてからレベルの高い卒論が増加。学年を超えた交流が、生徒の“やる気”に火をつけたのだ。

 生徒一人ひとりの個性と多様性を重んじる自由な校風の中で、着実に成長する生徒たち。「身近な課題を発見し、解決する力は学校の学力には現れにくい。だからこそ卒論を書くことを通して興味のあることに積極的に挑戦してほしい」と金子教諭は強く語った。

(文/佐久間香苗)

●学校データ

所在地       〒170-0003 東京都豊島区駒込4-11-1

TEL        03-3917-1456

学校公式サイト   https://www.hongo.ed.jp

海外進学支援    有

帰国生入試     無

アクセス

巣鴨駅(JR山手線、都営三田線)徒歩3分

駒込駅(JR山手線、東京メトロ南北線)徒歩7分

国内外大学合格実績(過去3年間)

東京、京都、東京工業、一橋、北海道、東北、名古屋、大阪、九州、筑波、東京医科歯科、東京農工、電気通信、東京海洋、東京外国語、東京学芸、浜松医科、横浜国立、千葉、防衛、防衛医科、東京都立、横浜市立、早稲田、慶應義塾、上智、日本医科、東京慈恵会医科、東京理科など