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スクールエコノミスト2023 WEB【海城中学校編】

国際レベルで通じる能力を育む海城教育~数学オリンピックや論文で高い評価

 数学部からはこれまで2名が国際数学オリンピック日本代表に選出され、そのうち1名は昨年銀メダルを獲得。また同年、数学界の権威ある欧州の査読付き名門数学誌『NNTDM(Notes on Number Theory and Discrete Mathematics)』に高3生3名の共著論文が掲載されるという快挙もあった。この論文のアイデアは数学科リレー講座の『フーリエ誕生250周年記念』に中学生時代に参加したことが端緒となっている。これらの輝かしい成果は、授業や講座、部活動を通じた日々の取り組みが実を結び国際レベルの才能を引き出したと言える。これは海城の数学教育レベルの高さのひとつの証明ともとらえていいだろう。

 しかし、一方で海城の数学の入試問題は最後まで忍耐強く解く計算力、そして与えられた範囲を満遍なく勉強してきた勤勉性を重視する。記述問題がないのも特徴だが、「論理的な思考と、それを記述する力は中高でしっかりとつけさせます」と平山教諭。

舞台は世界へ~グローバル部の存在と海外進学

 2014年に設置された英語ディベートやディスカッション、模擬国連対策などに取り組むグローバル部の存在も注目だ。2017年には模擬国連国際大会の日本代表の資格を得て、翌2018年にはNYで開催された国際大会にて日本人の男子で初の最優秀賞にあたる事務総長賞を受賞した。その後も後輩が後に続き、2019年、2022年にも国際大会の切符を手にしている。さらに事務総長賞を受賞した生徒がハーバード大学へ進学したことで海外トップ大学も海城生にとって現実的な進学先となった。昨年度は世界大学ランキング2位のカリフォルニア工科大学の合格者も輩出。

 この生徒は「AI技術を学び、世界の教育格差をなくしたい」と将来の夢を語ったという。「彼は在学中にも経済的に恵まれない子どもたちに数学を教える活動をし、そこから世界の教育格差を少しでも縮めたいという志を持った。高い学力だけでなく、他者や社会を思いやるパブリックマインドを育めたことは嬉しい」と校長特別補佐の中田大成教諭は笑みをこぼす。まさに海城の教育が掲げる「高い知性と豊かな情操」を体現した理想的な形と言える。

 小舟だった海城生は、教員たちが柔らかな風となり導いた6年間で、自らのエンジンを力強く駆動させる立派な船へと成長しそれぞれの大海原へと挑む。

(文/松岡理恵)

●学校データ

所在地       〒169-0072 東京都新宿区大久保3-6-1

TEL        03-3209-5880

学校公式サイト   https://www.kaijo.ed.jp/

海外進学支援     

帰国生入試      有

アクセス

新大久保駅(JR山手線)徒歩5分

西早稲田駅(東京メトロ副都心線)徒歩8分

国内外大学合格実績(過去3年間)

ハーバード、カリフォルニア工科、ミシガン、ジョージア工科、カリフォルニア、東京、京都、東京工業、一橋、東京医科歯科、東京外国語、早稲田、慶應義塾、上智、東京理科、東京慈恵会医科、順天堂など