スクールエコノミストWEB【城北中学校編】

スクールエコノミストは、私立中高一貫校の【最先進教育】の紹介を目的とした「12歳の学習デザインガイド」。今回は城北中学校を紹介します。

ICTを駆使できる自由な学習環境が 発想豊かな研究を次々と生み出す

<3つのポイント>

① 充実したICT環境が生徒の心の内にあるやりたいことを後押し

② 自ら考え、発信する力を養う中3「卒業研究・卒業制作」

③ 学ぶことの楽しさや醍醐味を余すことなく伝える教員の姿勢

自由度の高い学びの環境で広がる世界、高まる学習意欲

 近年、城北中学校が注力しているのがICT教育である。中1から中3では総合学習の時間を活用して「情報」の授業を実施。パソコンなどの情報機器を扱ううえでベースとなるリテラシーに始まり、動画やアプリ作成といったクリエイティブ、プログラミングの基本やアプリを用いたプレゼンテーション、遠足や研修旅行などの課外授業にICT教育をリンクさせたPBL(問題解決型学習)をはじめ、城北オリジナルのカリキュラムで基礎から応用までバランスよくスキルと知識を高めていく。「何かを知りたい、発信したいと思ったとき、何の制約も受けずにチャレンジしようという気持ちにさせる装置や仕組みが必要。ICTは、そうした一歩を踏み出すきっかけになる」と清水団教頭は考える。

情報の授業の様子

 3年間の集大成として、中3で「卒業研究・卒業制作」を行う。3学期にクラス内で全員がプレゼンを行って代表者を選出、修了式での発表会に臨む。テーマの設定は生徒にゆだねられ、約1年をかけて興味のあることについて研究する。飛行機好きの生徒が取り上げたテーマは「手作り飛行機を飛ばすための分析と実践」。自作の飛行機がうまく飛ばず、飛行機の構造を工夫したり、理科的アプローチから揚力について考察したりと、何度も失敗を繰り返しながらもうまく飛ばせるまで10機以上の飛行機を作製。その成果をつぶさに研究にまとめ上げた。ほかにも「プロ野球チームの成績を解析して勝つための改善方法を探る」「地方行政と財政」「セミと環境適応」「映像クリエイティブ作品の制作」など、実に発想豊かで多様なテーマの中学生離れした作品が出揃った。「好きなことだから、自由度が高いからこそ、得られる知識や広がる世界があります。こうした能動的な学びへの姿勢は、その後の教科学習や大学受験で必ず生きる」と、清水教頭は語る。

Creativityを重視したICT教育 ヒントは米国のMITラボ

 教育目標の柱とする大学進学を達成しているだけでなく、ICTを駆使して自由度の高い学びを提供している同校。これを実現する契機となったのが「先生が教え、生徒が学ぶ」という、従来からあるような教育への疑問だった。2014年に私立学校の視察で訪れた米国で、清水教頭がMITラボのミッチェル・レズニック教授と交わした会話が城北独自のICT教育のヒントになっている。清水教頭は語る。「人は学び進めていくとき、数学の計算練習のように基礎の部分をまずは鍛錬するべきなのか、それともやりたいことや好奇心を第一にすべきなのかと迷っていたのです。するとレズニック教授は、これからはクリエイティブな考えと行動が欠かせないこと、それから〈4つのP〉について教えてくれました」。Projects(プロジェクト)、Passion(情熱)、Peers(仲間)、Play(遊び)。仲間と共に情熱や遊び心を持って課題解決に挑むことがさらなる飛躍へとつながるとレズニック教授は説いた。同校のICT教育は、まさにこれを体現したものなのだ。